悪役令嬢スキルなんて……
悪役令嬢で何がいけないのですか。スキル悪役令嬢ですから、仕方ないじゃないですか……。
スキルをもらう10歳の誕生日に、私はウキウキしてましたわ。
父様は闘技、母様は薬師、兄様は鍛冶技、姉様は剣闘とレアスキルで大活躍していますわ。だから…だから私もとスキル鑑定協会に行きました。
言われたのは、
スキル悪役令嬢。
レアスキルの中でも超激レアスキルで、聖女や賢者よりも遥かに超激レアスキル。
悪役令嬢は、一度だけ命を犠牲にし国を強くできるのですわ。魔術や魅力などの耐性をマックスに…発動条件は、20歳になると同時に毒薬暗殺。
それを聞いて、家族も民も私を見る目が変わりましたわ。
第1王子の婚約者に無理矢理され、周りの令嬢から嫌われ、孤立しましたわ。
国王陛下が新たな法を作ったのは、私が17歳のとき。
マリア・グレイス公爵令嬢が20歳になると同時に暗殺に成功したら、新たな爵位・懸賞金3億ゴールド・第2王子又は王女との婚約、が褒賞……と。
涙なんか枯れ果てました。
もう、誰も私を人間として扱いませんもの。
私を見る目は、褒賞を得るための目。兄姉も親友も両親でさえ。
しかし、19歳の初夏に事態は急変した。
聖都市カイアナがスキルについて新たな文献を発表した。
スキル悪役令嬢は、
自国の民の本音を暴くもの。
国もそれには驚きはしたけど、無視を決め込んだ。
20歳の寒い冬、母の毒薬で私は20歳を迎えた朝に暗殺された。
魂は消化されず、成り行きを見守るため魂は国神様の元にいることになったわ。
スキル悪役令嬢、それは聖都市カイアナが発表したように、ある意味無意味なスキルだった。
そう、人の本質をスキルによってあぶり出し、国の行末を破滅させるか否か…。
死後文献は残るが、国王陛下が代わると、記憶や文献はあやふやになり、最後には無くなる。
聖都市カイアナのみが記憶を残せるのは、国王陛下を作らないからだ。
国王陛下ではなく、女王陛下のみが記憶を残せるらしい。
国は信用ならないと、隣国や諸外国から貿易すら無くなり、貧困国となった。
『国神様、このスキルは国神様が罰を与えられないから、私みたいな貴族の女の子に悪役令嬢スキルを与えるのですね…』
【すまぬな…神はただ見守るための存在。だが…国が腐敗し始めると、吾も…病になり消えてしまう。そうなれば、世界の調和は柱を失い崩壊してしまう。
膿を出さぬ限り、世界は崩壊の道を辿る。
すまぬ…本当にすまぬ…】
『構いませんわ。だって…私が慕う…親友が第1王女が女王陛下となるのですから』
【そうか…】
『そうですわ!あぁ、凛々しくも見事な姿ですわ!リィン!』
【では…転生を許可する!】
『リィンの娘として』
【あぁ】
次目覚めるときは、
親友の腕の中。
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