大天使ハニエルVS魔王ルシファー
ハニエルは悪魔達の住まう、冥界へと入った。冥界に漂う、「悪の妖気」は天使が触れると、天使に害がある。それすら無効化し、飛んでいた。
(冥界の中央に行けば良いのよね…)
冥界は、中心の島があり、そこから10000000kmぐらい離れたところに外島がある。外島は、幾つかある。
中心の島が、最強の魔王ルシファーが住まい、「神島」と呼ばれる。
外島には、東西南北で各1人、魔王がいる。東の魔王が住む大陸を「東要」、西が「魔西」、南が「南国」、北が「北妖」と呼ばれている。
「鬱陶しいわね。魔殺崩火。」
ハニエルは飛行中に悪魔に攻撃された。そこに、対魔の魔法を使った。
(少し、静かになったわねぇ。おや?あれは…ウフフッ…東の魔王の領土じゃないの…)
ハニエルは美しく、恐ろしい笑みを浮かべた。そして、ハニエルは飛ぶのをやめた。右手を上げ、そこには特大の水玉が―――
「魔殺崩水…」
右手から出した水玉が分裂を始めた。それは、大陸全体に降り注いだ。
(楽しいじゃないの…)
ハニエルは殺るだけ殺って、「光速飛行」を発動させた。光のように速く飛んでいく、ハニエル。
(まったく…滅茶苦茶遠いじゃないの…)
ようやく見つけた、神島。ハニエルは思考する。
(さて、どうしようかしら?死滅魔法を放つか、死核魔法を放つか…どっちでもいいかな。)
ハニエルは聖気を全開放した。それを極限まで練り上げ、一箇所に集合させて、魔法を発動させる準備を始めた。
「世界終末獄星神滅崩覇!」
美しく、よく通る声が響いた。そして、3分も経たないうちに、神島は死界へと変化していた。
「この聖気…天使か…お前達、殺してこい。」
「「「御意。」」」
魔王ルシファーはハニエルの気配や聖気を感じ取った。そして―――
「―――ッ!自己絶対守護結界!」
ハニエルが魔法を発動したことも感じ取った。そして、急いで自分だけを守る結界を構築した。
攻撃が止まったので、結界を解除した。そこは、死の大陸だった。何もかも無くなり、死体がゴロゴロ転がっていた。
「………ルシ…ファー…様…お逃げッ―――」
ルシファーの目の前で仲間が死んだ。
「やあ、ご機嫌よう。」
「!!!」
少し遠くに、大きな天使の翼を広げた、ハニエルがいた。金色の扇子を広げ、仰いでいた。
ハニエルが持っている武具は、「神刀剣・正義と栄光の剣」、「天光扇」だけだ。
白と黒の少し透けた生地の服装で、白い肌が眩しい。絶世の美女と言ってもいいぐらいだった。
「お前が魔王のルシファー、なのよね?」
「…そうだ。魔王だ。魔王として、天使の貴様を殺す。」
睨み合う2人。天使と悪魔は、元々世界大戦でも争った程仲が悪いのだ。まさに、犬猿の仲だ。
「魔殺崩木。」
「魔帝六連殺爪!」
ハニエルが右手を大きく振り下ろしたら、樹木の雨がルシファーに降り注いだ。だが、ルシファーは全て魔爪で切り崩した。
「あら?やるわねぇ。」
「舐めるなよ。俺は悪魔の王!お前は天使長でもない、ただの大天使だろ!?」
「ピクリ」、とハニエルが反応した。そして、切れ長の目でルシファーを見つめた。
「クックック…死ね!魔黒無壊死!」
「まだまだね。攻撃削除。」
悪魔の翼を大きく生やし、黒焔気弾を翼から発生させた。そして、それをハニエルへ飛ばした。
が、ハニエルによって消された。これは、閻魔帝王の配下たる、暴力巨神鬼が使っていた技だ。それと同じ原理である。
「はッ!?今何をッ…何をしたというのだァーーーーー!」
「分からなかったの?まぁいいわ。説明が面倒臭いからね。」
ハニエルはため息をついた。ルシファーは、ハニエルを本当の敵だと確信した。倒すべき、敵。
「チッ…お前、本当に癪に障る奴だな。」
「フン。だから何?」
「いや、何でもない。死ね!悪天滅殺竜!」
ルシファーは、天使をも喰らう、「邪竜」を召喚した。
「面倒臭いから、一息でこの竜を殺すわね。魔殺崩金。」
「何馬鹿なこと言ってんだ!殺せるもんなら殺してみろー!」
金色の扇子を広げて、ハニエルは下に振り下ろした。それだけで、邪竜が血を吐いて吹き飛ばされる。
「―――え?」
「脆いわね。これで私を殺せるとでも?」
ハニエルが目を細めて、美しい笑みを浮かべた。
「全力で抵抗してやろう。大天使ハニエル。夢魔死吸血!」
「ホイ。」
ルシファーは小さな蝙蝠、吸血鬼を召喚した。相手の血を吸い、支配するというものだ。この吸血鬼は、支配系統能力でトップを争う程なのだ。
そして、ハニエルは何かを投げた。ルシファーに向けて。それは、原子爆撃沈獄と言う、ハニエルが作った代物だ。
そして、爆発した。
「ギャァァァァァァァァァァァァアアアアア!!!」
「フフッ。痛いかしら?炎に焼かれて灰になれ。」
ルシファーは跡形も無く消え去った。が、凄まじい回復能力で体が元の形へと戻った。
「あら?まだ足りなかったようね。フフッ。た〜のしいわね…もっと殺し合いましょ?私と。」
「いっ…嫌だッ!」
ルシファーは恐怖した。そして、ルシファーは確信した。自分ではハニエルと戦えないと。
ルシファーは初めての「恐怖」を感じたことに困惑した。
(これが…これが、恐怖カァァァ!!!)
『ルシファーの進化が開始されます。「魔王」から………「魔神」へと進化…成功致しました。』
ルシファーが極限まで、たった今達したのだ。
「フハハッ!魔神!俺は魔神ルシファーだァァァ!」
「だから何?」
ルシファーは、また困惑した。目の前にいたのに、後ろから声が聞こえたのだ。そして、漂うハニエルの良い香り。
「魔殺崩土。」
「喰らえ!魔神天破斬!」
大地が大きく揺れ、崩れた。が、それは、一筋の斬撃で止まった。ハニエルは痛みを感じた。右手に斬撃がかすっていたのだ。
(楽しいわねぇ…)
ハニエルはルシファーの劇的な進化に驚いた。だが、関係無い。殺せばいい、それだけだ。
「これで終わらせるわ。サヨウナラ。崩天月光陽炎竜舞!」
「―――え」
天空から降り注いだ。炎で形成された竜が。舞うようにうねって、美しく輝いていた。そして、ルシファーは竜に包まれて、囚われていく。
「―――終わったわね。」
ここでの戦いは、ハニエルの圧勝で終わったのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ハニエル、ちょっと来てくれ。」
「どうしたの?」
ハニエルはミカエルへ駆け寄った。
「好きだ。」
それと同時に、ハニエルはキスされる。それを見つめる、ゴルーヤ達兵士。
「もう、知ってるわよ!」
抱き合う2人。戦いが終わり、ようやく共に居られる時間が出来た。
魔王ルシファーが死んでも、他の悪魔はまだ冥界にいるのだ。
ハニエル、いや、ニョレーキとサムルル王国の悪魔との戦いは、まだ続く。
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これで番外編は終わり(つまり、作品完結)です!
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