ゴルーヤの部下達の戦闘2
バイハンがモレクを打ち破った、この報せはすぐに伝えられた。
「そうか。報告ご苦労。」
黒く煌めく玉座に座る1人の男。漆黒の翼はとても綺麗だった。その声だけで空間が圧迫されそうだ。
魔王である、ルシファー。魔王ルシファーだ。
悪魔界、冥界の王たる男だ。冥界門をこじ開け、侵略を進める作戦だったのだが、ここまで抵抗されるとは思わなかった。いずれ冥界門は「創造神の遺志」により勝手に閉じるのだ。その時に冥界に入ればいい、そう思っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
―――タイガVSフルレーディ―――
「髑髏の神雷放射。」
「灼熱地獄渦!」
空が暗くなる。そして、黒雲は一箇所に集まり、髑髏の形へと変化し、雷を吐く。だが、数億度を超える炎の渦により蹴散らされる。
『タイガに技能…火焔王を授与致します。』
タイガは新たな力を得た。タイガの蹂躙が始まる。
「獄嵐暴風!」
地上まで細い雲が伸びる。そして、砕かれる。フルレーディは回避を行う。
「雷撃魔耐監獄!」
雷が天空から伸び、地上に触れる。だが、限界があった。タイガが放った技は雷ごと飲み込み、フルレーディに直撃した。
「ギャッ…ギャァァァァァァァァァァァァアアアア!!!」
響く、美声。フルレーディは左半身を砕かれ、右半身が麻痺された状態になった。
「クッソ…絶対にッ!許さない!私の本気を喰らえェェェェェェェェェ!」
「いいよ、やってみな。」
フルレーディは翼を最大まで広げ、再生を行った。タイガは妖気を極限まで練り上げた。
『タイガに技能…呪解波導弾を授与致します。』
また、新たな力を手に入れたタイガ。そして、フルレーディが右手を上げ、漆黒の直線を手から放った。そこを中心に真っ黒の雲が消えていく。
フルレーディの美顔に血管が浮き上がる。
「お前はッ死ねぇ!陽炎赫怒灼獄終滅ゥゥゥ!」
「戻れぇ!呪解波導弾!」
周囲は気体が焼き尽くされる程の熱が広がった。だが、タイガが放った攻撃は、何もなく突き進んでいく。それは、フルレーディに直撃した。
「なッ…何だこれは…」
フルレーディは自身の力が減少していくのを感じ取った。そして、蘇るのは、自分が天使だったころの懐かしい記憶。そこには、フルレーディの母がいた―――
(お母さん…お母さんなの!?)
「もう、大丈夫よ。貴女はやり直せる。もう一度、自分を見つめ直して、ね。」
(でも、私は許されないことをした…何度も何度も…人を殺したッ…)
「大丈夫よ。私が、貴女のしたことは全て私が引き受けるから、安心して。ほら、目を開けて―――」
目を開けるとタイガがいた。
「ほら、上手く行っただろ?」
タイガの言葉に、笑うフルレーディ。悪魔へと変貌した天使であるフルレーディは、また、天使へと戻ったのだった。
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