戦争の準備
「ハニエルさん。」
「どうしたの?ゴルーヤ。」
ゴルーヤへと振り返るハニエル。
思わずハニエルに惚れそうになる、ゴルーヤ。
「ミッ…ミカエル王より、ハニエルさんに手紙が!」
「渡しなさい。」
ハニエルよ
戦争が近い。兵士達の強化を頼む。
(じゃあ、やるわ。)
「集まれ!」
兵士達を広間へ呼んだ。
その数、3万。
「王からの命令よ。私は、お前達を強化する。装備を差し出しなさい!」
兵士達は言われるがまま、装備を取り、ハニエルへ預けた。
「じゃ、まず体を強化するわ。天使召喚!」
広間に大きな魔法陣が現れる。兵士の数と同じ数の天使を呼んだ。召喚されたのは、中位天使〜下位天使と、一体の熾天使だ。
「あなた達、この兵士達に憑依しなさい!」
ゴルーヤには、熾天使を宿した。熾天使は、天使の最上位に君臨する天使のこと。これにより、ゴルーヤはとてつもなく強くなる。
「ガハッ…グフッ…たすっ…け…」
そのまま、ゴルーヤは気絶した。憑依先よりも膨大な力を持つ者が憑依すると、憑依先の者が苦しむのは当然だ。
ゴルーヤは気絶したが、だんだん体に定着していくので放置しておけば大丈夫だ。
「ゴルーヤ様!」
「大丈夫ですか!」
「いいわよ、放置しておいて。」
兵士達はハニエルを信じた。ゴルーヤに宿った天使が異常なのは誰もが察していた。
「じゃ、武器を鍛えておくから、お前達は休みなさい。」
広間から出ていく兵士達。それを見たハニエルは、大規模魔法陣を展開する。禁断魔法・「神話武具創造」だ。
「ハァァァ…」
目を瞑り、息を深く吐く。
魔法陣が上下に動き出す。魔法陣に通された武具はだんだん鍛えられていく。その力に耐えれなかった物は、魔法の圧力により粉々になる。が、兵士達は戦争を目前にしているので、武具は完璧に磨き上げていた。
そして、2時間が経った頃には、禍々しい力を放つ武具へと成長していた。
「お前達!受け取れ!」
ゴルーヤも目覚めて、完成した武具を与えた。
「これっ…なんですか…?」
「なんか…滅茶苦茶強度が上がっているんですけど…」
兵士らが持つ剣は、「伝説宝刀」で、防具は、「伝説神具」となった。
「私が鍛えたの。」
「ハニエル様、感謝致します!」
「ハニエルさん」→「ハニエル様」になった。誰かから崇められるのは心地良いな、とハニエルは思うのだった。
「ミカエル。この都市防衛結界は強度が弱いわ。対悪魔の結界を構築していいかしら?」
「良い。すまんな、お前ばっかり働かせて。」
「良いわよ。ミカエルは前よりも弱ってしまったのでしょう?あまり動けないそうじゃない。」
「フッ…前の身体とは違うが、私の心の輝きは不滅だ。」
「それでこそ、ミカエルよ。」
ハニエルはサムルル王国のど真ん中に立つ。
「魔死性結界。」
これは、ヒロトが作った防衛結界を参考にして作った結界だ。魔属性が結界に触れると、「即死」「絶対死」の効果を与えられ、死ぬ。
というもの。
「これで、大丈夫かしら。」
ハニエルは来る戦争を楽しみに待つのだった。




