サムルル王国
ニョレーキは自身の「時空間跳躍」を使い、世界を周る旅に出た。
一番最初に見つけたこの空間。そこに飛び込むことにした。
「フゥ…」
目の前にはとても綺麗に作られた王都があった。そこに降り立とうとした瞬間…
「ファーンファーン」と警報音が町中に響く。
(へぇ…警備体制もとても良いわね。国全体に結界が張られているようね。)
ニョレーキは結界を無効化し、王都に入った。
「全軍、あの天使に銃弾の雨を降らせろ!」
「待ちなさい。」
ニョレーキは一瞬で指揮官の下へ移動した。
(何だ!!!???)
「私はあなた方に協力したいのよ。」
空中にいた時は黒い服だった。が、今は真っ白のドレスに着替えている。
「ゴルーヤ様!無礼だぞ、きさまっ…!」
ニョレーキは聖気を放った。純白の翼をしまい、睨む。
(な!これ程の威力の威圧が!?)
指揮官ゴルーヤは目を見開く。そもそも、天使が現れることはこの世界にとっての危機なのだ。
「私…この国に協力したいのよね。」
何故ニョレーキはそう思うのか。この王国が結界を張っていて、その周囲の国が結界を壊そうとしていたから、そして、この国から感じる懐かしい気配に気付いたからだ。
(これはっ…協力したほうが…良いのでは?)
ゴルーヤの感情の変化を感じたニョレーキは威圧を止める。
「王に…王にこの者を紹介しよう!」
「「「ハッ!」」」
(フッ。中々話が分かる奴じゃないの。妾は気に入ったぞ。)
きらびやかな建物を通る。シャンデリアがとても美しい。
「王よ。今回の戦、この者がいれば勝てるやも知れませぬ。ミカエル王よ。」
(やはり、か…)
ニョレーキは何千年も前に会ったことがある。というか、戦ったことがある。
ミカエルは、閻魔帝王との世界大戦で敗北し、この世界へ逃げてきたのだ。
「…ああ…ハニエルか…」
(そうだったわね…私は、私の名はハニエルだったのか…)
「久し振りね、ミカエル。」
ニョレーキがそう言うと、周りの護衛達が激怒する。
「お前…ハニエル…我らの王を侮辱するか…」
そう言う護衛の1人。それを見たニョレーキは後ろに一歩下がる。
すると、護衛が持っていた刀がニョレーキの目の前を通過する。ニョレーキは「時空間」をありのままにできる。未来を読めば、このくらいならどうだって対処可能だ。
「なッ…!」
「攻撃が遅すぎね。」
ニョレーキは、空振りして転びそうになった護衛の背中を叩いて、転ばせた。
「………私が負けるのは…何年ぶりだろうか…」
「大丈夫。殺しはしないわ。ミカエル、悪魔と戦っているのでしょう。協力してあげるわ。」
ニョレーキが宣言した。
「いい、のか?」
ミカエルが問う。
「ええ。私達はお互いに永遠の愛を誓ったのよ?好きな人を守るのは当然でしょう。」
「その声が聞けて…幸せだよ。」
ニョレーキ、いや、ハニエルはミカエルの額にキスをした。それを眺める兵士達。
「じゃ、兵士達を徹底的に鍛えてあげるわ。いいでしょ、ミカエル。」
「………頼む。」
ミカエルは少し考えた。ミカエルは閻魔帝王の一撃により、聖気の吸収が不可能になった。なので、肉体の老化が進んできているのだ。
このハニエルは、全盛期のミカエルを上回るだろうと、ミカエルは考えていた。
強き者に指導してもらえるなら、強くなるのは当然だろう。
ハニエルはミカエルの状況に気付き、自分の聖気を分け与えた。
「ウォッ…アッ…オォォ…!」
ミカエルの体がみるみる若返っていったのだ。
「さて、訓練を始めましょうか。」
ニョレーキ、ハニエルの訓練が始まる。




