4話 生き残りをかけて
これが帝王!
「氷鬼よ。前に出てこい!こいつと殺し合え。おい人間。氷鬼に勝てたら開放してやる。」
「醜くい人間よ。俺様は氷鬼だ。閻魔十傑三である。閻魔十傑五を殺したようだが、俺は簡単に殺されないぜ。」
(こいつ…並外れて身体能力が高い。筋肉が、パない。)
「早速行くぞ!人怨念殺鬼を受けてみろ!」
「ガン!」
鈍い音がなる。刀が折れる!ベキベキと音を立て刀がへし折られる。閻魔十傑五を倒したときに手に入れた力。
「目視複製!」
俺の手に現れたのは、
鬼殺之獄炎神剣だった。
「「「!!!」」」
帝王や、氷鬼が声にならない声で驚く。
本当は、氷鬼の持っている剣を複製したかったが、あれは人を殺す剣らしく、人は使えない。なので火属性の剣へ進化した。
鬼界の伝説の剣へと。
「くくく、アッハッハッハ!まさか伝説宝刀とはな…!その剣は、鬼には使えないようだな。奪い取って帝王様に献上してやる!」
攻撃を始める。
「ぬぅぅん!」
玉座の広間の床が一気に壊れる。
「氷鬼様。玉座を汚すなど…。」
「良い。いいから見てろ。」
地面が割れながら迫ってくる。
「獄炎吐息!」
「くっ!」
相手は氷属性。こちらは火属性。とてもこちらが有利。
「図に乗るな!水氷魂収穫破滅!」
俺はもう一度獄炎吐息を放つが、炎自体が凍った。
「ちぃ!」
「どうだぁ!これが俺様の!氷鬼の力だ!」
俺は考える。
有効で凍らせない程の火力を出さなければ。
「世界終末炎獄神滅亡覇!」
放った瞬間、つまり魔法陣が動き出した瞬間に氷鬼が死んだのだ。灰も遺らず。
いかにも世界を破壊できそうな魔法。帝王の王宮は、全てが燃える。だが、崩れそうにはない。
「アッハハァ!面白い奴だ!いいだろう、開放してやる!ただし鬼界からは出られない。この世界から元の世界へ戻りたいのならば、余を倒すことだ。励むがいい。つれていけ。」
2体の鬼に帝王は指示を出す。
「「ハッ!」」
しばらく歩く。出口が見える。
王宮から出て、周りを見渡す。
俺は初めてこの世界をじっくり見た。
俺はこの世界を変える者になるんだ。
この、間違った世界を。
これで終わりじゃない。ゲームで死んだ者達を救わなければ。
再び牢獄へ行くと…
その部屋は血まみれだった。鮮血が鉄格子の隙間から流れ、俺は「ピシャピシャ」と音を立て、血を踏みながら歩く。俺は、俺は驚いた。全員死んでいた。
え?
これ、誰がやったんだ?
誰のせいだ?
全員、頸を斬られている。いや、頸を斬られてない者もいる。
死んだら、死んだままここに来たのか?
じゃあ俺のせいか?
俺の、せい?
俺が、結局悪いのか?
俺は、こんなことを求めてない…。
絶望。
もう嫌だ…。
そうだ。蘇生できれば。
ヒロトはこう、考えている。
殺したら力が手に入るなら、魂を持っているんじゃないか?と思う。その魂をまた戻せばいいんじゃないか?今は力ではなく、命優先だ。
「・・・回復…。」
自分が持っていた治癒魔法を行使し、回復を祈る。
「魔法が使えるようだな。魔法は「祈り」だ。意思が強ければ強いほど、魔法も使えるし、強くなる。」
帝王がそう言っていた。
祈りの強さに呼応するように、死んだ者達の傷が回復する。
「魂嵌め。」
願うようにそう言った。
今度は魂を死んだ者達に入れるという作業だ。1人1人誰の魂か分からないが、殺した者を記憶しておいた。魂も殺した者の順番に保存しておいた。その順番に入れていけば間違いはない。
強い光が俺を照らす。目を開くと、
「あれ…。」
「ここは?」
「?」
蘇生が完了したようだ。
俺が殺したからには、そうでもしなければならないのだ。
それが、俺の責任なのだ。