３４話 最終決戦 Part4
時空将フーラは、空間を潜っていた。時空間も移動出来て、空間にも潜れる。
空間は真っ暗闇の世界だ。
フーラは「何か」を感じ取った。
何かが近づいてきている。それも、強大な鬼気を秘めた、「何か」が。
「！？」
気づくと、目の前にいた。鬼が。
「グウウウアアアア」と音が鳴ると、その鬼が消えた。
「え！？」
「消えろ。音波振動圧。」
フーラにもの凄い圧がかかる。
(体がッ…潰れるッ…！)
フーラは空間から城に出る。床に降り立つと、また、目の前に鬼がいた。
「十傑…だね。」
「閻魔十傑の七、音鬼だ。この名覚えておけよ。冥土の土産にするがいい。」
オンキは、聖職者のローブを着ている。
帯刀している、神剣・音色。まさかの、神剣だ。左手に握る剣は薄黄に輝いている。
「さ、死ね。音名。」
オンキが放った瞬間、フーラはすぐに耳を塞ぐ。フーラは感じ取ったのだ。この攻撃は致命的攻撃になると。まずは、音を聞かないようにする。
「時空剣！」
無数の剣がオンキの周りに出現する。
だが、剣がオンキに突き刺さる瞬間、弾かれたのだ。
「ショボい攻撃をするな。お前が将軍ということは分かっている。そんなものか？」
「うるさい！まだまだ、本気を出していない！！！」
フーラは時空剣という剣を握り、剣を振る。
だが、首に当たるという手前で止まる。
(何だ？斬れない！？)
「ハッハ！まだ足りない！」
オンキは、常に少しだけ音波を放っており、体を纏っている。それは高密度で、刀などで斬ろうとすると、体に触れる前に音波に止められるのだ。
「音節！」
短い音が鳴る。強烈子音→母音→子音と、一瞬だけ鳴ったのだ。その影響で、体が動かせない。音波がフーラを捕らえているのだ。
「クソッ！ガハッ…」
音波で締め付けられる。
「もう、限界か…そろそろ殺してやろうか。」
オンキの握る剣が光となって消え、その光の粒がまた、フーラを捕える。
「死ね。音圧狂冥斬！」
とてつもなく大きな音が鳴り、壁や床が崩壊し、フーラに攻撃が迫る。
「耐えろ！時空歪線吸収覇」
時空間に歪みが発生し、フーラに迫る攻撃を吸収する。
「耐えたんだ。へぇ〜。じゃ、いくぞ。歪音波振動獄。」
「ッ！時空歪線吸収覇！」
２つの攻撃が当たった瞬間に、時空の大きな歪みが発生し、どちらも吸収される。
「やるな、オンキ。」
「お前も、な。次で決めようか。」
２人とも、刀を構える。
「時空断裂激神覇！」
「音速光熱滅尽砲！」
フーラの攻撃は、時空自体を切断し、何もかもを消し去る、という凶悪な魔法。
オンキの攻撃は、音速、いや、光速とも言っていい速さで光と熱が刀から撃たれる。光エネルギーと熱エネルギーをMAXまで出したのだ。
２つの攻撃が、まず、激突する。時空に穴が開くが、光熱砲により、時空自体が吹っ飛びそうだ。
フーラは、技を操る。熱エネルギーと光エネルギーを出来るとこまで時空間で吸収する。そして、弱まった攻撃を時空間を拡張して、吸収する。
オンキは、閉じた時空間の圧縮で押し潰され、死んだ。
そこには、オンキの所持品や、遺体も何もない。
「ハァッ…ハァッ…ハァ…」
フーラは、今の攻撃で殆どの鬼気を消費してしまった。
フーラは、空間を潜り、休む。
閻魔十傑の七・音鬼が肉も血も、何も遺らず、死んだのだった。
