32話 最終決戦 Part2
城門を壊して、内部に入った。俺は玉座の階段を神速で走る。俺が閻魔帝王を倒すために。
樹威将ツーラはさっそく、閻魔十傑と出会った。
「ご機嫌よう。貴方は、閻魔十傑の1人でしょう?」
「よく分かったなぁ…俺様が閻魔十傑の九!樹鬼だ!同じ木の属性だしなぁ!真剣勝負だ!!!」
2人が向かい合う。
ツーラは刀を抜く。聖剣・樹霊妖を。
ジューキは己の拳だけを使う、挙鬼だ。拳は、ヒヒイロノカネに近い程の強度を誇る。
「喰らえぇ!大地樹!」
ジューキが城の木の床を殴る。その部屋の床が抜け、木が生える。木は天井まで伸び、ツーラを押し潰す。
「クゥゥッ…樹霊化!」
ツーラはドライアド、霊になり、生えてきた木に宿る。そのまま脱出する。
「は!?卑怯だぞ!」
「そんなものはないわ!これは真剣勝負だ!」
ツーラはジューキの首筋に刃を当てるが、すぐに回避され、刀に拳を打ち込まれる。
ツーラが気にすること。それは刀のことだ。この刀が折れたり破損したりすると、自身を守る物が無くなるのだ。霊となっても、精神を破壊されれば終わりだ。
「クソッ!」
「おやぁ、もう終わりかぁ!!!」
ジューキが迫る。拳がツーラの腹にめり込む。
「ゴホォッ…」
「どんどんいくぞ!」
そう言い、拳を打ち込むジューキ。
「これで決着をつけようかぁ!死ね!」
大きく腕を引き、ツーラの右側頭部に強く叩き込む。そのままツーラは、百鬼夜城の壁を壊しながら吹き飛ばされる。
「グフォッ…」
他の部屋の床に倒れ、ツーラは苦しみ、大量に血を吐く。白目を剥き、気絶する。
ジューキはツーラを吹き飛ばすと、床を蹴り、ツーラが吹き飛んだ方向に向かって飛ぶ。
ツーラが気絶する一瞬、見えた。ジューキが目の前にいて、拳を降る姿が。
「……………ん!…さん!ツーラさん!」
誰かに呼ばれ、起きるツーラ。
「ん…何があったんだッ…頭…痛いわね…」
そこには、フウカがいた。
「大丈夫ですか?」
「頭が…痛い…大丈夫ですわ。ありがとう、フウカ。」
フウカは、ジューキを無限結界で捉えていた。
これには、ツーラも驚く。
(将軍として、不甲斐ないわ…!)
そんなことを考えているツーラ。
「あとは、将軍としてあいつを倒すわ。他の将軍達の助太刀をよろしく頼むわね。」
「分かりました!ご武運を!」
ツーラは、自身を治癒し、樹霊召喚を行う。魔法陣から5体の樹霊が出現する。
「憑依しなさい!」
そう叫び、5体の樹霊がツーラに宿った。魔力や聖気が回復する。
準備が整い、フウカに意思送信を送る。
(準備が整ったわ!結界解除を頼むわね!)
(了解です!)
フウカが応じる。
目の前の結界が消える。
「クソがッ…!皆殺しだぁ…皆殺しだぁ!!!」
ジューキが全ての鬼気を開放する。
今のツーラは、5体の樹霊と同化している。それでも、相当な力なのだ。
「そろそろ、終わらせるわ!」
「それはぁ…こっちの台詞だァァァ!!!!!」
ジューキの拳には、緑のオーラが纏ってある。それは、樹木葬だ。殴った所から蔓や樹木が生え、狂乱樹霊をランダムな数を召喚する。
「貴方に私の最強の技を、見せつけてやるわ!」
「望むところだ!大木葉切断連激!!!」
「喰らいなさい!!!世界樹巨神虚無ォォォォォォォォォォ!!!」
ツーラの全身全霊の一撃。ツーラ自身の中で一番強い技。たった今、ここで作った技。
世界樹の巨神の拳が吹き荒れる。壁や床が崩れていく。殴られた部分は、黒いオーラが10秒程、残留する。
ジューキは思う。この黒いオーラにふれると、必ず、死んでしまうと。確信していた。
巨神が殴り尽くすと、その巨神は消える。が、新たな世界樹の巨神がそこから発生する。
巨神の巨大な親指が、ジューキの背中に当たり、ジューキの背中がえぐれる。
「ギャァァァァァァァァァ!!!」
拳から出た黒いオーラに、ジューキは蝕まれ、朽ちていった。
たった今、ツーラによって、閻魔十傑の九である、樹鬼は死んでいった。




