3話 悪夢
鬼を全て殺す、というところで逃げられた。俺は、苦しむ。
「ゴホッゴホッガハァガゥハァ!」
一瞬苦しみ、喰らった鬼の歯を吐き出す。
ヒロトは特殊体質ということが分かった。
「ほぅ。そやつは余を倒せそうかい?星鬼。」
「今のままでは無理でしょう。いずれ戦うことになるやも知れません。」
「このままゲームを続行しろ。」
「御意。」
「よし、このままゲームを続行する。」
「異論はあるか?」
と、鬼気を放ち、威圧する。
誰も反応しない。そりゃそうだ。話すことを許可されていないのだ。嫌だでも、文句が言えない。
「第2回戦は、こういうものだ。2チームに分かれてバトルという殺し合いをしてもらう。ヒロトは、強いからしなくて良い。でも参加者はヒロトを殺したければ殺せ。その時は、ヒロトも戦え。」
(………。)
「始めぇ!」
ヒロトに3名が向かう。
「はぁ!?」
「死ねぇ!」
「ちょ待てよ!ふぅぅん!」
1人の口を掻き切る。
「ふぅぅうぁぁあ!」
そして、それを見て怯えた2人はヒロトから離れ、殺し合いに戻る。
口を切った奴の髪の毛を握り、上へと持ち上げる。
「俺はこの世界を変える。俺がこのゲームを終了させ、お前たちを助ける。誓って。」
そのまま頸を斬る。持ち上げた頭から下が崩れ落ちる。
このゲームを終了させるには、ゲームを始めた鬼共を殺さなければ…!
2回戦は、15人程生き残った。
俺の刀は錆びてきた。殺した者の血液で。弓はある。矢は、10本程ある。そのうち1本だけ鬼を取り込んだ時に、変質し、強化されている。
「3回戦!これで最後だ!次は、この百鬼夜城を通り、帝王様の玉座まで行くことだ。鬼が城の中にはうじゃうじゃいるからなぁ。気をつけろよぉ?」
もう既に怯えた者がいる。そりゃそうか。
俺以外に鬼と戦ったことがないからな。
百鬼、というよりか1万程鬼がいるんだが…。いや、そんなことはどうでもいい。
「我は、乱鬼だ。閻魔十傑の五だ。」
この閻魔十傑とは。
閻魔の配下の中で最も強い十名の鬼。それが、閻魔十傑。
この場合、上から5番目。5番目に強い。
「死ねぇ!鬼乱舞獄陣覇!」
自分と同等の鬼を召喚陣から100体召喚する。
関係ないね。
すきをつき、1体殺す。それを喰らう。
「ウァァァァァア!これが力…!!!」
それを見たラーキは、
「は?暴走せずに吸収に成功しただと!?」
危険だ!と頭で思考する。
「召喚鬼己統一!」
召喚した鬼を全員、自分に取り込む。
「ハァァァァァア…ウゥゥゥア!」
動きがふらつく。そのままそのラーキは、暴走を始める。
「グルゥゥウルァ(巻き舌)!」
「…っく!」
ラーキが金棒を振り回し、ヒロトの右手首が吹っ飛ばされる。
(この、化け物!)
この邪悪は、
今!ここで!倒す!
飛ぶ。その瞬間に空中で横に移動する。
「そこかぁ!」
金棒がヒロトに当たる。が、そこにいたヒロトの姿が消える。
「げ、幻影だと?」
(有り得ない!一体、どれ程の、速さで動いたというのだ!?)
「グフッ…!」
血を吐く。
いつの間にか、頸を斬られていたのだ。
ヒロトは、もう先へ進んでいる。
「クソッ!クソッ!クソォォォォ!」
そのまま、死体が転がる。
これが500年ぶりの十傑が欠けた瞬間だった。
殺せば殺すほど強くなる。これがこの世の常識だ。
ヒロトは、今ので大量の力を手に入れた。
(鬼の親分を殺せばいいんだな…。)
自身の右手首を治癒する。治癒魔法はどこで手に入れたか、ヒロトは分からない。だが、使えるものは使わなければ。
鬼を殺しながら走る。
半狂乱になりつつ、殺しながら走る。
いつの間にか、帝王の前へと来ていた。
(オーラが違う!何だ、コイツは!?)
「おやおやぁ、余の前へ来たのはたった1人かぁ。アッハッハ!」
愉快そうに笑う、帝王。その周りには頭を垂れる鬼達。
これが、鬼の王!




