13話 国家との激突 2
霧が覆ってよく見えない。2万はいるだろう。閻魔程ではないが、鬼気の量は凄く大きい。
「ヒャッハー!サッサと殺してやるぜ!」
「っ!待てっ!!!」
「グシャャアン」
そう音を立て、頸を斬られる俺の配下の鬼。
「こいつら、相当強いぞ…」
「あぁ、俺と同等だ。」
「光熱放射能!」
巨大光線が一直線に進む。大規模爆発が起きる。
「300ぐらいしか死んでないな…」
「おやおやぁ、私の配下に何しました?殺したりしてませんよねぇ。」
(これが、この中で一番強い!)
「配下を傷つけるとは…なら貴方達にも同じ事をしましょう。私の名はジャーグ。」
死滅魔法を放つ。
「!!!」
ギリギリで回避する。
「回避しても無駄ですっ…ガァハア!」
急に吐血する。
(これは、ニョレーキの放った放射能。それに汚染されたか。)
そう、光熱放射能は、光と共に放射線も放つのだ。
原子爆弾というものを知ってるだろう。アレと同じ物質が使われている魔法。
「ガァハッ!ガハッ!ハァハァ…」
(苦しんでいるなぁ。)
「世界終末炎獄神滅亡覇!」
ここら一帯が爆発する。こちらの陣は、結界で覆っているので安心だ。
「フゥゥゥゥアァァァ…」
(なっ、アレに耐えた!?)
「見事な魔法でした。今から召喚する奴に勝てたら私と戦わせてやろう!神召喚!」
そこに現れたのは、雷神だった。
「グゥハッハッハ!雷神!そいつらを殺んだ…」
「分かるか?戦いはいつも警戒を怠るな。」
(私の後ろから声が聞こえる?そんな、誰もいないはず…)
すると、目の前の雷神が倒れる。水の渦巻きのような物に囲まれて。
「お前が召喚したのは神だろう?弱すぎるんだよ。なら、召喚主であるお前も弱いだろうな。サヨウナラ。君の魔法、素晴らしかったよ!天雷旋風連激獄。」
ジャーグの体は、雷と風の連撃で打ち砕かれ、滅せられる。
世界終末炎獄神滅亡覇を受けても死ななかった、この頑丈なジャーグの体。
ジャーグは、カンナス王国の伝説的な魔導師だ。
魔導師団の中で、一番魔法が覚えられず、使える魔法を操るのも出来ない。馬鹿にされ、罵られる。
そんな人生を変えるために魔法を頑張った。魔法を沢山覚えるために魔導書も完璧に読み、覚える。そして、自分を馬鹿にした奴らを魔法で殺した。
ただ、もう、疲れたんだ…こんなことのために魔法を覚えたのか?人を殺すために?
それでも、たった今。たった今、認められた。俺の努力を、苦しみを、頑張りを全て。
(君の魔法、素晴らしかったよ!)
私の努力は、無駄じゃなかった…!
俺は、頑張った…!
分かってくれる人がいた…!
何もかも忘れ、涙を流しながら体が崩れて、消える。
後悔の無い、ジャーグはそう思い、そのまま成仏した。
これにて、ここでの戦いは終わりを迎えたのだ。