「ばいばい」
あぷあぷ×らっしーさんの共同制作作品です。
あぷあぷが体験したエピソードを、
らっしーさんがイラストに描いて下さいました!
(本編ではあぷあぷが犬の散歩中に実際に遭遇した母子との実話を掲載しております。
提供頂いた挿絵のイラストと登場人物が異なること、ご了承ください。)
※この小説は、らっしーさんの大人気Twitterツイートシリーズのワンシーンを小説化したものです。
本編と挿絵に登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
挿絵提供:らっしーさん(挿絵掲載許可取り済)
時計の針が15時を示す頃。
私はスマホにイヤホンを接続し、右耳だけに付ける。
1曲目は最近お気に入りである某大人気アーティストの最新曲から始めることにする。
冷え込みが激しいこの季節。
ダッフルコートにマフラーと手袋、もちろんマスクは必須だ。
犬の散歩の支度をすること約10分。
手綱に繋いだ犬を手に抱えながらブーツに両足を入れ、部屋の鍵を閉めると、日が傾き始めているのを横目で見ながら、マンションの外階段を下る。
犬を気の向くままへ歩かせ、片手では数え切れない程の犬仲間と遭遇して飼い主同士の会話を交わしていると、ふと学校からは16時のチャイムが聴こえた。
お土産を鞄にしまい、帰路へ歩みを進めていると、
遠くから
「しゃむぃぃぃーーー!!! うぇーーん:;(∩´﹏`∩);:」
という声とともに小さな男の子が泣きながら歩いてきた。
私は「どうしたの?」と姿勢を屈みつつ声をかけると、
隣にいた母親らしき人物が、少し困り顔で「寒くてぐずってるんだよね」と説明をしてくれた。
この日の気温はおよそ3℃。
大人ですら寒さで凍えるこの温度。
我が家の犬も素足で冷たそうに地面を歩いている。
身長80センチも満たないであろう子が、寒さで泣いてしまうのも納得だった。
「そっかぁ。今日は寒いねぇ。今日はわんわんも寒がってるよ〜。」と言いながら、私は手綱の先にいる犬を指指すと、
「わんわんも、さみゅいの( ´ •̥ ̫ •̥ ` )?」と、男の子は小さく鼻を鳴らしながら、頬を濡らした涙を拭いて、興味を示してくれたようだった。
「そうだよ〜。わんわんも寒いから今からお家に帰るところだよ。
きみも早くお家に帰って温かくしてね。」
ふと私は犬の手を取り、犬の手で「バイバイ!」と男の子に向けて見送った。
母親に抱き抱えられていた男の子は、右手で母親のパーカーの生地を握りながら、小さな左手で「わんわん ばいばい。」と言いながら振り返してくれた。
男の子の目には、まだ小さな涙がキラリと浮かんでいたが、彼の心の中は少し温まってくれただろうか。
寒さに耐える可愛い小さな背を見送りながら、
私も犬と共に帰路へと歩を進めたのだった。
(終)
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
いつも可愛いイラストに癒されているのですが、小説×イラストでコラボできるとは光栄でした!
私の日常ツイートを見て「イラストにしていい?」と声をかけてくれた、らっしーさん本当にありがとうございました«٩(*´ ꒳ `*)۶»
この場をお借りして御礼申し上げます(*≧∀≦*)