第五話「屋上と犯人」
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1日目・夜
君の行動は?
→1.藤谷さんから、目覚まし時計借りてこようかな…
2.皆寝てるんだから、もう寝よう。そのほうが安全だ。
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寮長室には、ある張り紙がしてあった。
「現在・食堂。夕食調理中」
一度でも部屋に入ると、内側から出られなくなる代わりに、
外部からの干渉が完全に不可能になる仕組みらしい。
鍵を持っているのは寮長だけで、部屋にご飯を持ってくる。
藤谷さんが戻ってくるまでは、夜風を浴びることにした。
風呂に入って火照った体にちょうどいい。
君はこれから住むことになる寮を、
しみじみとした様子で眺めている。
寮の裏に生い茂った雑草も、風情があるものだ。
ふと、草むらの中に、
不自然に機械的なものがあることに気づいた。
そして、君は見た。
見て、しまった。
→1.なん、で、こんな、ところに
駆け寄る。
無心で駆け寄ってしまう。
そんなところにあるはずのないものが。
あってはいけない幻が、なぜか。
→1.僕の、目覚まし時計、が…
「――これはこれは、都合がいい。
屋上の仕掛けなんぞよりも、
お前のほうがよっぽど優先だ」
→1.――え?
君が声を出そうとした瞬間、
黒外套の者の腕が目にも止まらぬ速さで一瞬動き、
君は喉笛の少し上に鋭いものを感じた。
「ッ…!!」
→1.誰か、誰か助けてくれーッ!!
だが、その声は形にならない。
声帯の一部を切り取られると、声は出せなくなる。
血は少ししか出ず、もう止まっている。
信じられないほどの鋭さで、肉屋よりも慣れた手つきで。
声帯の全てが正確に切断されている。
「わざわざ監視のないところに来てくれて助かるよ。
2階のカスは夜中も交代で見張ってやがるからな…
お陰で暗殺どころか破壊工作もロクにできやしねぇ。もっとも、
寮裏のカメラは、"昨日既に破壊しておいた"からバレねぇがな」
君は暴れようとするが、体は動かない。
それもそのはずだ。ぶちぶちという音と共に、
既に君の体中の腱は、鮮やかに真っ二つ。
凶器らしきものは、すぐ隠れて目に捉えられない。
「ほれ、到着だ。あばよ」
…!?
寮の裏口から校門まで、かなりの距離があったのに、
一瞬で校門外に移動させられている。
そのまま犯人は宵闇に紛れ、見えなくなった。
→1.(…そうか…!証拠の隠滅を…!!)
2.(早く、校内に戻らないと…!)
犯人は、下手人になる気はなかった。
何故なら。
→1.(あ…遠吠え、が。)
校門の外には生粋の殺し屋が、腹を空かして待っているからだ。
結末は語るまでもない。既に、前起きたことと同じだ。
今度は誰もキミを助ける者がいない、という違いがあるだけ。
――BAD END No.2「絶好の間隙」
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「はーいどうも氷室君!
ようこそ保健室へ!!」
→1.あれ…僕、どうなって…?
「何も覚えてないだろう?そりゃそうだ。
記憶はかなり消しておいたよ。特に痛みの部分はね。
自分が死んだ感覚なんて、気軽に覚えてていいもんじゃないからね」
→1.あの、僕を殺した人は、一体…?
2.すごく暗くて、顔が見えなかった…
「…この学園を内部から崩壊させる"犯人"だよ。
目に見えないくらいの小さな綻びを作るときもあれば、
誰の眼にも明らかな急所を一撃で抹消する時もある」
→1.…
2.(そんな悪人がいるとは思えないけど…)
「一番重要なのは、その犯人の手際の良さだ。
"一切証拠を残さない"。相当な切れ者だ。
この学園最高の頭脳を、今の今まで誤魔化し続けている」
→1.一体何でそんなことをするんですか?
2.できれば、それを止めさせたいです。
「そいつの目的はただ一つ。
"学園を崩壊させ、生徒を皆殺しにする"ことだ。
キミの目的はその逆。全員生還、だろ?
今の状況は、人狼ゲームのようなものだな」
1.その言い回し、僕はあまり好きじゃないですね。
→2.助けてもらって失礼ですけど、貴方は何もしないんですか?
「…言い方が悪かったのは認めよう。すまない。
だが、私にはこの件に関われない理由があるんだ」
→1.…なんですか?
「なにしろ…私は弱い!!絶望的にね!
私は君たちみたいに若くはないんだ!」
1.仕事中に酒飲んで吐いてましたもんね!
→2.えっ、その見た目でアラフォーだったり…!?
「うるせー!まだ29じゃ!20代だぞ!!
こほん…それに、いくら私がナレーターとはいえ、
"見えない"んだ。犯人のことは、ね。
それくらい巧妙な奴だ。本当に気を付けるんだぞ」
1.なるほど…
→2.そろそろ、戻らなきゃ。
「はーい!ここでナレーちゃんの助言ナンバー002!
『君の目的は"学園の崩壊を防ぐ"こと。
その為には、犯人の企みを阻止しなければならない』!!」
「今言ったことを君は忘れるが、すぐ思い知ることになるとも。
キミのすべきことは、それだけだ。それじゃあね」
→1.治療と情報、ありがとうございました!失礼します!
ああ、それと"キミ"たち?
ここからは、犯人の予想を立ててみるのもいいかもね。
だけど気を付けてほしいことがある。
犯人のクソッタレはあろうことか、
いわゆる"ノックスの十戒"を一つ破っている。
興醒め極まりない手法だ。私なら絶対にやらないね。
そのことを踏まえて、犯人を探してくれ。
今後、君たちが選ぶ選択肢はどんどん難しくなるからね?
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1日目・夜
君の行動は?
1.目覚まし時計無くても起きられる!多分!
→2.皆寝てるんだから、もう寝よう!
そう言って部屋の扉を閉めると、
オートロックがかかる音がする。
しばらく待っていると、
寮長…藤谷の声が聞こえてきた。
「開けるわよ!夕食持って来たわ!
開けていいなら返事しなさい!」
→1.はーい!オッケーです!
ロックが解除され、玄関に入ってくる。
小さな体に不釣り合いなほど、多くの夕飯を持っていた。
約束通り作られたカレーの香ばしい匂いが漂う。
「よし、ちゃんと部屋にいるわね!
じゃ、玄関先のこのお盆においておくから。
他の人の料理が冷めるから、そろそろ…」
→1.わぁ~!おいしそう!
→2.これ、台場さんが作ったの!?
「私も一緒に作ったけどね!アイツ一人だと、
味見で一人前は食べちゃいかねないから!!
ほんっと、料理しか出来ないんだから…!!」
→1.あれ?調理室って台場さんしか入っちゃダメって…
「?そんなこと言われてないわよ?…ちょっと待って。
何の話、それ!?あのバカアンタにそんな失礼なこと…
いや、言わないわね絶対…!そんな気配り私にするわけない!
だって、アイツの好きな人って…」
1.…料理が冷めるのでは…??
→2.…ご馳走様でした!
「せめて一口は食べてから言いなさいよ!?
とにかく!私配膳に戻るから!一時間後食器取りに来るわ!」
バタン、と扉が乱暴に閉められ、
ロックがかかる音がする。
1.味付けは中辛だね!
→2.このカレー甘口かな?
…氷室君のような勘の良いガキは嫌いだよ。
ナレーターの出番がないじゃないかー!
私も青春したいー!!
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君が会長室に入った時、
会長はまたコーヒーに砂糖を入れようとして、手を止めた。
「む…よく来ましたね。おはようございます。」
彼女の長い黒髪は、右側はピシッと決まっているが、
左側は心なしかぼさぼさである。
→1.おはようございます、会長!
2.コーヒーに砂糖、別に入れてもいいんじゃないですかね?
流石に踏みとどまったか…よくやった氷室君。
君なんか会長に対しては特にフランクじゃない?なんで?
君の挨拶を受けて、会長は話を始める。
「昨日の夜、君の生徒会入部の件について、
じっくり考えていたのですが…」
1.…(唾を飲む)
→2.…ど、どうですかね…?
少しの緊張感が漂ったのち。
「…合格です。生徒会へようこそ!」
→1.よかった!
2.ありがとうございます、よろしくです会長!
直後。
会長は素朴な笑顔で、とんでもないことを口走った。
「私以外の誰かが生徒会に、なんて信じられないです!
力になるかどうかは分かりませんけど、
全力で最大限君を有効に活用させていただきます!」
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はいこれ~、翻訳かけるとこうね。
「私以外の誰かが生徒会に、なんて(夢みたいで)信じられないです!
(私が君の)力になるかどうかは分かりませんけど、
(私が君にできることは)全力で(やるので、)
最大限君(の力)を有効に活用させていただきます!」
…彼女、生徒会長になれるくらい人望あるの?
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1.え…っと、その…頑張りますね…はは…
→2.はい!精いっぱい頑張ります!
…??
「(パァァァ)そんなに頼っていただけるとは…!!
…こほん。とにかく、早速仕事をしてもらいましょうか。
まずは…"屋上の調査"ですね。」
1.屋上って、飛行場がある、とかいう…?
2.路補さんが居るとか言ってたような…
「はい。実は私、屋上は行ったことはないのです。
そもそも、この学校の何処にも屋上階段は無いんです」
「という訳で、路補君か金田君を掴まえてください。
そして、仕事内容をじっくり調査してくださいね」
→1.連れて行ってくれなかったらどうしますかね?
「暴力…いえ何でも。
最悪の場合物理的手段を用いてください。
二人とももや…痩せ体形なので大丈夫です」
→1.解決手段それでいいんですか!?
「いえ。これは穏便な解決手段で、
とても効率的な手段です。ですよね?」
→1.…言われてみればそうですね!
会長は笑顔に戻り、
とんでもないことをまた口走った。
「まあ、氷室君ですから。
問題児は出来ると思ってませんので、
お使い感覚でてきとうに頑張ってくださいね?」
→1.ぶっ飛ばしていいですか?
この反応は妥当だと思うなー!
「励ましたのに何でですか!?」
1.あっ、励ましてくれたんですね!
→2.やる気が出てきました!行ってきます!
…チョロすぎないかい、氷室君?
「ええ。頑張ってくださいねー。
さて書類仕事をば…」
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~翻訳~
「まあ、(この学校に入って間もない)氷室君ですから。
(あの屋上の)問題児(たちの調査という極めて難しい課題を
完璧に)は出来ると思ってませんので、
(あんまり気を張らずに)お使い感覚で
(、それでいて出来る限り)"適当"に頑張ってくださいね?」
一ミリも悪気がないのが酷い。誰かを褒めようとすると
まともにしゃべれない呪いがかかってると思ってくれ…。
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君は会長室を出て、辺りを見回した。
すると、左手側に人影が見える。
その痩せた人影は、路補 創介その人だった。
→1.あ、路補さん。ちょっとお話いいですか?
彼は君のほうに目もくれず、
部室の奥の何もない壁を見つめていた。
「虹彩・指紋認証クリア。
"イフタフ・ヤー・シムシム"」
→1.あの~!僕は新入生の氷室ですー!
すると、彼はさっきまで何もなかった壁から
ある制服を取り出し、君に押し付けた。
「その制服は鄭重に扱え。
それが破損した場合、代わりは作れない。
さて、行こうか。」
→1.え?どこへ???なんで??
「会長室での会話は聞いている。
校門の外だ。急ぐぞ」
→1.せ、説明不足じゃないんですかこれー!?
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言われるがままに正面玄関に連れていかれ、
路補は立ち止まり、君に言った。
「制服の第二ボタンを外せ。
俺は先に行く。上手く"操縦"しろ」
1."操縦"?
君がその言葉を言い切る前に。
彼の制服が一瞬で変形し、
ステルス戦闘機か、燕の翼のような形になって肩についた。
そして、それからジェットパックのように
エネルギーが放出され、一瞬で上昇していく。
→1.えええええ!?!?!??!!??
瞬く間に屋上につき、見えなくなった。
音も極めて小さかったので、今の動作は誰も見ていない。
1.出来るわけないでしょ、これ!?
→2.第二ボタンを押して…っと。
→1.うわあ!!?!!??!
君は錐もみ回転しながら上に上昇していく。
上手く体を捻じって、屋上に着地した。
屋上に着陸する際に、謎の障壁のようなものに触れた気がした。
屋上には狭い着地ポイントと、
沢山の太陽光パネル、そして時計塔だけが存在していた。
路補は君に話しかける。
「燃料の無駄が通常の123%近くあったな。
気を付けろ。微々たるエネルギーも無駄には出来ない」
→1.無理があるでしょうが!!!
2.説明不足なんてもんじゃないでしょ!死にかけたんですよ!!!
「君は死なない。君が死ねば終わりだからな」
→1.理由になってませんが?????
…君が騒ぐのも無理はない。
屋上のもう一人の人影が、路補に近寄る。
「おっ!路補の旦那、お早うござんすね!
…って、なんじゃアンタ!!」
1.ひ、氷室です…
→2.金田さん、お早うございます…!
屋上の男…金田は一瞬驚いたが、
すぐに落ち着いた様子になって独りごちる。
「まぁ…旦那が連れてきた、ってことは
信用できるってことやろ…
ここのことは会長になら喋ってもええけどな、
ワシのことは喋ったらアカンで!!」
路補は金田に話しかける。
「金田。少し耳を貸せ」
すると、金田は君を見た時よりも
遥かに大きく驚いて声を放った。
「…はああああ!!!!?????
いくらアンタでも、んなアホなこと…」
路補が話すにつれて、金田は落ち着いていく。
「…確かに、合理的やな…
で、でも、それイカれてるやろ!?
んな、怪獣の吐いた炎で暖を取るみたいなこと…」
1.…何の話だろう…?
「…まぁわしゃもう知らん!!
アンタの好きにすればええ!!
ワシは金さえあればええからな!!」
金田はそう言いながら、
時計塔のエネルギーメーターを弄っている。
→1.金田さんの目的は…?
2.金田さんは何してるんですか?
「ワシは会計やけど、商人やからな。
この世で二番目に大事なのは金や。
その為に他人が多少傷つこうが知ったこっちゃないわ。
他人から金をむしり取るのが経済ってもんやろ」
1.…ひょっとして…
→2.この太陽光エネルギー、ちょっと盗んでる?
金田は下卑た笑みを浮かべ、
バレてしまったことを悪びれずに言った。
「ほ~、お目が高いっすね、氷室の旦那。
ああ勿論、ちょっと"利息"を頂いているだけですがね、
お間違えの無いように。へっへっへ。」
1.でも、会長たちが資金不足でって…
→2.皆が苦しんでるのに、なんでそんなこと…?
「何か目的のために蓄財をする、という訳ではあらへんのです。
"蓄財"こそが目的なんっすよ、いわば趣味っすよ。
この学園では趣味が人を多少傷つけるの、許されてまっしゃろ?
生徒会長はんならその辺りはよ~く分かってらっしゃるわ」
→1.まあ、そりゃそうだけど…
「ま!学校のほうもそん利息抜いた少ない金で回ってるんで、
大目に見てくだせぇ。ああそれにしてももっと金が欲しい~!
パネルに光あれ~!お天道さま、顔見して~!!」
まあ、善人しかいない学校じゃないってことさ。
氷室君には悪いけど、もしこの学校に善人しかいないなら、
"犯人"なんているわけないだろ?
氷室君は路補の作業の確認に移る。
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→1.路補さん、何してるんです?
「灯台なんとやら、だ。
犯人が内部に、という杞憂的仮説推論に過ぎないが」
彼は常に遠くを見ている。
彼の思考回路は誰にもわからないが、言えることは一つ。
"彼は必ず誰よりも早く核心に迫る"ということ。
私が言うんだから間違いないぜ。
→1.東大がなんです?"犯人"?
「否、問題ない。不確定事項を吹聴するのは卒爾だった。
兎角、枢要なことは後だ。私の仕事を見ていてくれ」
卒爾:尚早、軽率。
枢要:重要。
同じ日本語喋ってるとは思えないんだけど…
氷室君は路補に質問する。
1.どうして僕を連れてきたんですか?
→2.新人の僕に頼むより、会長を連れてくればよかったのに…
すると、彼にしては珍しく、
氷室君に振り向いて言った。
「…会長に任せるわけにはいかない。
"その制服は精密機械だから"な」
1.あ~…
→2.会長って機械音痴だったんですねー。へー…
あ!悪いこと考えてる顔だ!やめて!!
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路補の作業は多い。
→1.もうすでに夕暮れ時だ…
「あー。今日取れるエネルギーはこんなもんか。
んじゃこの分の20%を手数料として徴収しますか!」
→1.メチャクチャ暴利じゃないですか!!
「ええじゃろ、それで回っとるんやから!!」
→1.確かに…
納得するなや!!
路補は北西にある、最後のパネルの作業に移っていた。
1.そのパネルだけ、妙に調整時間と回数多いですね。
2.何か仕掛けがあったりするんですか…?
「仕掛けの無いパネルは一つも存在しない。
そこは砲身だから安全だが、隣の機関部に触るな」
1.?わかりました…
「今日で調整は終わりだ。後は金田君に整備を任せる」
「はあ?なんて!?出来るわけないやろ!」
「そういうと思って、マニュアルを渡しておく。
君に渡した契約書を読み直してくれ。条文にあるだろ?
時間は有り余っているだろうし、よろしく頼むよ」
金田はポケットの契約書を読み返し、
頭にバシっと手を当てた。
「…ワシのアホタレ!!
こんな条文気付くか!詐欺じゃこんなの!!」
路補は君に近づいて、淡々と呟いた。
「君の長所は、何が起きても行動できる胆力にある。
それは私すら持ち得ないものだ。
それさえあれば、あらゆる問題や災害も全て些末事だ」
→1.えっと…ありがとう、ございます…?
「これから君は常にその制服を持っているのがいい。
明日、太陽光パネル、"北西の端23番裏"。宜しく頼む」
これをよく覚えておくように。いいね?
「クッソ、美味しい話はないってことやなぁ~…。
ほれ、皆はん、帰るで!
会長さんに誤魔化し…もとい、報告や!」
そう言って君たちは、第二ボタンを押し込み、
一斉に滑空して校舎裏に着地した。
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正面玄関に入る途中。
→1.あの、路補さん。
2.ちょっとお話があるんですけど…
「補足事項は大歓迎だ、仔細を話してくれ」
→1.なんで、インターホン壊したんですか?
「…何故、それを早く言わなかった。
…否。忘れろ。私のコミュニケーションが悪かった」
→1.え?あれ、貴方じゃなかったんです!?
「…そう来たか。
なるほど…いや、まだだ。まだ不明点は残る。
でなければ、"ハートショッカー"を作る必要は無かった筈だ。
それはあり得ない。断じて…」
金田は煩そうに、その声を遮っていった。
「ああああ!!専門用語で喋るなや!!
ホシの目星はどんくらい確実なんや、それ?
正確な数値にしてもらわないとわからへんで!割合出せ!」
「九分九厘、犯人が分かった」
「一割か!大したことないやんけ!!」
→1.あれ、戻らないんですか?
「私はもう一度屋上に戻る。
伊佐久の"活性剤"は便利だ。
君たちは早々に行け」
――――――――――――――――――――――――――――
会長室に入ると、束が待っていた。
まだ左側の髪はぼさぼさのままだ。気づいていないらしい。
「お帰りなさい、氷室君。おや、金田君も一緒ですか。
氷室君。彼を拘束してインターホン代を徴収してください」
→1.(拘束)
メッチャ手際いいね。息ピッタリじゃないか。
「はああああ!!???
ちょっと待って、待ってくださいよ~!!」
会長は冷酷に告げる。
「寮のインターホン弁償代。
30ボイラードル徴収」
「嫌や~!!」
「…のところを、今ならなんと、
20ボイラードルにまけて差し上げます!」
よくある手段だが、相手は商売人。
これに動じることはなかった。
「へっ、会長さん、商売が下手糞やな!
もともと20ボイラードルしか徴収しないのがバレバレやで!」
「そうですか、じゃあ30ボイラードルでいいです」
→1.会長、悪役の顔になってますよ。
「…そう来たか…!!やるな、会長さん…!!
覚えとれよ、この負債は必ず払ってもらうで…!!」
そう吐き捨てると、金田は地団駄を踏んで
会長室から怒りのまま出ていき、扉を丁寧に閉めた。
1.扉は丁寧に閉めるんだ…
→2.そっか、学校の備品だから…
「金田君が先に払ってからですね~
さて氷室君、屋上状況の報告をお願いします」
→1.金田さんが金ヅルでした
→2.路補さんが宇宙人でした
「それは分かってるので、報告不要です。
屋上への行き方は分かったんですか?」
→1.金田さんと路補さんの許可がないと行けなくて…
「あー…やっぱりそうでしたか。
何をしていたかの報告は不要です。
路補が何をしていたか、なんて誰もわからないので。
備品に損害とか、大きな問題はありましたか?」
1.あったらしいですが、路補さんが全部解決したって…
→2.今回の調整で大体完成?したらしいです…
「…まあ、あの人嘘だけはつかないので…
信用ならないけど信用せざるを得ない状況に、
他人を追い込む悪い癖があるんですよね…」
「金田君はその逆で、一見信用できるんですが
絶対に過信できないんです。最も警戒すべきかと。
彼の報告じゃなくて、君に報告させたのはそういうことです」
「それだけ分かれば十分です。
今回は、調査ありがとうございました。
ゆっくり休んでください。休息が力を生むのです」
「私は、深夜に仕事があるのですが…
私は気にしないでください、それでは」
→1.会長、機械苦手なんですね。
→2.機械使う仕事は僕に任せてください!
「…そうですが、何か問題でも!?
明日は仕事量もっと増やしますからね!!
いいから早く寝てください!」
彼女が怒った表情を見せるのは、かなり珍しいことだ。
――この学校は基本的、ツーマンセルで動くからだ。
彼女の過去については、また後ほど。
第五話 終幕
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「…間に合わなかった、か。
貴様が犯人だということは、分かっていた」
「――。」
「最善は、私が囮になることだ」
「――。」
「使うわけにはいかないな。
何故なら――」
「私が殺されれば、この学園は跡形もなく爆発するからな」
「!?」
「起爆剤は私の肉体に張り巡らされている。
心臓の停止・脳波の停止・意識の12時間以上の停止が起爆条件だ」
「――!…!!」
「貴様の目的は知っている。
私が嘘を吐く人間に見えるなら、存分に殺せ」
「…!…。
――、――!」
「覚悟の上だ。後は、彼等に託すしかない」
「…テメェ、手強かったよ。
だがこれで…かなり楽になったな!
これでこのクソッタレの監視システムはもう無い!!
放送室は、あのゴミ共には有効活用できねえだろうしな!!」
――――――――――――――――――――――――――――
二日目・夜。
1.…路補さんが心配だ。屋上に行ってみよう。
2.今日はもう寝よう。
(今回はどちらも生存展開です。
各選択肢ごとに違う展開になります、
選ばれなかった片方は見れません)
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あとがき~
また一日遅れた!!すみません!!
"犯人"初登場です。
そろそろ展開が加速します!!
この選択肢難しいのでじっくり考えてください!!
あと、"犯人"について。
この学園にいる9人の生徒と、
1人の先生のうちのどれか一人です。
予想大歓迎ですー。
感想意見アンチコメ全部歓迎です!!
読んでくれてありがとうございます!
次回:「犯人を探せ」乞うご期待。