第ニ話「気難しい寮長」
前回(第一話)投票の結果:2
1.先に、寮長に挨拶に行ってみよう。
→2.武道場から見に行ってみるか…
――立ち入るな、と言われると行ってみたくなるのは人の常。
"凍結学園"にグラウンドはなかったが、その代わりか、
異常なほど大きな武道場が、本棟から少し離れたところにある。
武道場と本棟の大きさはほとんど違いが無く、
君には遠近法がおかしくなったかのように感じられた。
…?
武道場に向かう道は藪があって通れない。
仕方がないので正面玄関を出て、武道場入り口から入ろうとした。
――突如君は、正面玄関を出た直後。
"考え直したほうが良かった"とすぐに駆け戻った。
だが、既に遅すぎた。
武道場入り口付近にいたのは、"白い狼のような生物"。
目が合ったが最後、君のほうに向けて全力で駆け寄り、
君の右足に食らいついた。
「グッ…!?!?」
転倒する。
もつれ合った人と狼では、狼のほうが強いのは当然だ。
たまらず君があおむけになった隙を狙って、
狼は君の"喉笛を食い破った"。
「――…」
意識が遠のく。
遠ざかる感覚のなか、君が最後に見た光景は。
"正面玄関をぐるりと取り囲んでいる、
数十匹の白い狼状の個体の群れ"だった。
――DEAD END No.01「8:30の警鐘」
…もしもし?
…もしもーし!
やっほー。聞こえる?
あっ、しまった。この文章じゃダメだった…
「えーテステス。よし。
ダッシュボード用意して…っと。」
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「氷室君!ようこそ保健室へ!!」
「いらっしゃい!!早速だけど言うね!
君死んだよ!というわけで治療した!
治った!以上!状況把握できた?」
→1.いや、できませんよ!?
2.というかあなた誰ですか!?
「え?それでしか喋れないの君?
マジで?アッハハハ!ウケる!」
→1.ぶっ飛ばしていいですか?
「はいどうどう…そう怒んないでさ。
気分転換に自己紹介でもしようか。
私の名前は"赤治 奈礼"さ。ナレーちゃんと呼んでくれたまえ。
今回、なんで君が死んだか。知ってる?」
1.狼が悪い
→2.武道場に裏口がないのが悪い
「それはそうだね。それについては武道部長の責任だから、
文句は円ちゃんによろしくね。
あ、もちろん言った瞬間処されてもよければね?」
→1.その、円って人誰ですか?
「武道部長だよ。君をここまで連れてきた人さ。
狼に取り囲まれて重傷だった君を助けるために、
"狼数十体纏めてぶっ飛ばして粉々にした"の。
近くにいた君もその衝撃波の巻き添えで死んだ。」
→1.え、死因狼じゃないんですか!?
2.コワ~
「うん。出血と内臓破裂ならまあ…後者のほうが先にね…。
彼女、謝ってたし許してあげてね?
あと、元はと言えば、行くなとあれだけ言われたのに
一人で武道場行った君が悪いんだぞ!?死ぬって言ったよね!?」
→1.僕はそんなこと言ってませんよ?
「あー…いや、ごめん、君に言ったわけじゃなくてね。」
――キミだよ、"君"。
まぁ、カリギュラ効果を狙ったのは事実だけどね。
私だって、この選択肢なら2を選ぶよ。仕方ないね。
ここで一度君達と話しておきたかったんだから呼んだんだ。
これは内緒だがね、ここの世界線はこれで打ち止めだ。
だって、"バッドエンド確定"だからね。
「…まあ、とにかく。
ナレーちゃんの助言ナンバー、記念すべき001!
"慣れないうちは人の言うことに従うこと"!
肝に銘じておくように!ハイ返事!」
→1.はい!善処します!
2.チッうっせーな反省してまーす
「うん。いい返事だ。ナレーちゃんポイントを1点贈呈しよう。
ま、とにかく。次頑張ればいいさ!応援してるよ!
というわけで、選択肢まで記憶を消して、ハイリセット~。」
あっ、あと。キミたち。情報の補足するね。
失敗の選択肢のほうが、"事態の核心に迫れる"ぜ。
あんまり早く犯人に気づかれすぎても良くないが、ね。
ともかく。今後とも、投票よろしくね。
キミたちの為なら、世界の一つや二つお安い御用で作り直すとも!
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第二話「気難しい寮長」
前回のあらすじ
生徒会長と衝突!幼馴染との再会!
寮に荷物を置きに行こう!以上!
…というわけで、君は突然自由時間を与えられた。
→1.先に、寮長に挨拶に行ってみよう。
2.あんまり会長さんに手間かけさせるわけにもいかないしね。
君は、色んなことで大変そうな会長を気遣って、
先に寮に重い荷物を置いてくることにした。
本棟と寮は、武道場とは異なり隣接していた。
寮の玄関扉の前まで来て、呼び鈴を鳴らそうとした…が。
→1.あれ…?呼び鈴がない…
2.右壁面に切り取られたような跡が…
扉のすぐ右横の壁面をよく見ると、
非常に正確な長方形の穴が塗装で隠されている。
ちょっと前に、工事でインターホンを外したように見える。
仕方がないので、ドアをノックする。
→1.(コンコン)もしもーし!
…返事がない。
中で小さな何かが走り回っている音がする。
→1.(ドンドン)あのー!生徒ですがー!
2.(ドンドン)寮に用があるんですけどー!
…誰かが駆け寄ってくる。
小柄な人影が、ガラスと格子で囲われた扉の向こうに見え、
ゆっくりと扉に手をかけて…
突如、思いっきり扉が開かれて…
「出てけぇー!!怪生物ーーーっ!!」
扉を開けた人影は、右手に持ったヤカンの中身を思いっきりぶちまけた。
→1.あっつ!!!何すんですか!!?
君は、咄嗟に飛びのいたおかげでかろうじてケガはなかった。
ヤカンを持った人影…小柄なエプロン姿の少女は、
君の対応に非常に驚いている。
「うわぁ!!氷の化け物が喋ったぁ!!?
二足歩行型なんて見たことないよぉ!!」
→1.僕ただの人間ですよ!?凍結学園の転校生です!!
2.(熱湯が弱点の化け物…?)
君の説得を聞いて、少女は一応ヤカンを下ろした。
ここに至るまで2分くらいの睨み合いがあったが、割愛する。
「…確かに、熱湯があんまり効いてないし、敵意も無さそうね。
念のためもう一回かけていいかしら?今度は全部命中させるから」
未だ少女は訝しげだ。
君は必死の説得を続ける。
→1.お願いですので、寮に荷物置かさせてください!
2.寮生活の契約書も送ったはずですよ!?
「…アンタが転校生?悪いけど、昼間は受け付けてないの!
用向きならそもそもインターホンを押しなさいよ、常識でしょ!?」
すると、君の背後から凛々しい声が飛んでくる。
「落ち着いて、家保。この人はちゃんと、あの転校生よ。
私が保証するわ。それならどう?」
1.束会長…!
→2.説教早かったですね
「早めに切り上げました。時間の無駄ですので」
→1.すっごくきっぱり言うな…
寮長の少女は急にタジタジし始めた。
「うっ…分かったわよ、悪かったわね…氷室?君。
…ミコト、アンタねぇ!新入生の教育どうなってんの!?
インターホンより先に扉叩くのよコイツ!!」
すると、束は何処かきょとんとした真顔で言った。
「…家保、インターホンついてないよ。盗まれたの?」
「はぁ?インターホンが外れるわけないでしょ。
最近よく出る氷の怪物だって、こんなところまで手が届くわけ…」
少女は言い終わる前に、インターホンの跡地を見て震え始めた。
「…これ…この異常な手際の良さ…機械の盗難…!!」
束のほうを振り向くと、また頭を抱えていた。
犯人は相当問題を起こす人物の様だ。
「ふん、いいわ。アイツ最近寮にも来ないし。
それならそれで、怪物に食べられちゃ…
もとい、一度ひどい目に会って反省しちゃえばいいんだわ」
「まぁ、彼の事態ならば手出しは出来ません。
彼の構築したシステムは私も世話になっているので。
というより、下手に処罰して彼のシステムが止まると
最低でも学園全体が崩壊する、というか…」
→1.そんなに!?
2.学園の闇…
「まあ、彼のことは後です。
家保、氷室君を部屋まで案内してください。
部屋に荷物を置いたら8:55までに生徒会室に来ること」
「ミコト…背筋がぞくっとするから名前で呼ぶのやめなさいよ!」
「それはお互い様ということで。では」
そういうと、彼女は早足で本棟のほうに戻っていった。
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「ふんっ。いいかしら?これは特例よ。
本来は夜にしか人を入れないんだから」
キミたち二人は、薄暗い寮の廊下を歩いていく。
→1.そういえば、名前をまだ聞いてませんでしたね
「自己紹介?する必要あるのかしら。
まあいいわ。私は藤谷 家保[フジタニ カホ]よ。
名前は覚えなくてもいいわ。仕事は清掃、整理整頓よ。
どうせろくに会わないでしょうけど、部屋くらい綺麗に使いなさいね」
→1.これからよろしくね、藤谷さん。
「まぁ…その…さっきは悪かったわ…ごめんなさいね。
ケガとかしてたら保健室に行きなさい、それで大体何とかなるわ。
分かったら荷物を置いてとっとと本棟に戻りなさい」
過信しないでくれよー!?実際既に一回は…ゲフンゲフン。
もっとサボりた…じゃなくて、ナレーターの仕事も大変だからねー!?
…そんなことは置いておいて、君は自室に荷物を置く。
部屋に入った瞬間に気づくほど、丁寧に整えられた部屋だ。
彼女の心遣いが見て取れるようだった。
掃除の邪魔になると良くないので、早々に本棟に戻る。
通路沿いには、他の住居者の部屋も見える。
扉が開いていたので中が少し目に映った。
え…?「映らなかった」?
…まあ、そういうことにしておいたほうがいいだろう。
君は、彼女の怒りも当然ではあるな、と思うのだった。
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「おや。予定時刻丁度ですね。よろしい。
生徒会室は初めてでしょう?肩の力を抜きなさい」
→1.無理ですよ…
普通の教室を開けたと思ったのに、
いわゆる社長室みたいに厳粛な部屋が広がっているのだから、
キミが委縮するのも当然だ。
よくある巨大なデスクに両肘をついて、
太陽を背にして彼女が口を開く。
「早速、君が決めなければいけないことがあります。
それは"この学校で何をするか"です。
質問ですが、この学校の生徒を見て、何を感じましたか?
率直な意見を申し上げてくださいね」
→1.真面目な人と、不真面目な人が極端なくらいいて…
2.みんな、自分のできることを自由にやっている印象でした
彼女は一息ついて、話を始めた。
「この学校にいる以上、不真面目・不誠実は許されません。
"自由なことが出来る"といいましたが、自由には常に責任が伴います」
→1."皆が、自身のできることを最大限行う"。
2.そんな規則、ありましたよね?
「よく覚えていますね。感心しました。
実際のところ、誰かが不祥事を起こすのも少しは許容されるんです」
彼女は打って変わり、冷徹な態度で言葉を放つ。
その雰囲気の重みが、重要性を裏打ちしている。
「ですが。その危険な事態が、
余りにも学園の輪を乱すモノなら、これを処断しなければならない。
生徒会はこのような事態を解決するために存在するのです」
再び、少し穏やかな状態に戻って話を進める。
「言うまでもないことですが、
誰かを徒に傷つけることのないように。
それを踏まえたうえで、此方は各部活動の活動報告書になります」
→1.肝に銘じておきます。
ページをペラペラとめくりながら、
彼女は簡潔な説明をつらつらと述べ始めた。
「機構研究部は屋上で活動しています。
まあこれは普通の人間には無理でしょう。次ですね」
「日本文化部と放送部…隣の部屋ですが…
ここには…あまり入ってほしくないですね…
まぁ、大事なのは自主性ですので…」
「武道部。やめておきなさい。次ですね」
何故か理由が一瞬で納得できた君だった。
「美食部。これは良い活動場所ですよ。
あそこの…いえ。次ですね。」
「科学部。包帯と全身保護スーツの用意が必須です。次ですね」
「清掃部。家保が喜びます。次ですね」
「最後に…私の生徒会。これは正直お勧めしません。
好きじゃないと到底できない仕事ですので」
一通り言い終わると、彼女は姿勢を正した。
「今は決めかねるでしょうが、
希望があれば早めに教えてくださいね。
もちろん部活動新設も歓迎ですよ」
さぁ、部活動を決める時間だ。
氷室君が選びそうな答えを選んでくれると…氷室君は嬉しいかな。
私はどっちでも。断然反応が面白いほう…いえ、なんでも。
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一日目・2
氷室君の行動は?(投票で決定します)
1.はい!生徒会入ります!
2.一応全部見学してから決めます…
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~あとがき~
寮長、家保ちゃんとナレーちゃん登場回でした。
この二人は攻略可能キャラではありません。
僕は家保ちゃんを攻略したいです。
投票はもちろん、感想、意見、質問お待ちしております~!!