学園長に会いに
ここは冒険者育成学園の受付。
いつもの私服の俺シュンと、髪は暗めの銀髪、瞳が焦げ茶で容姿レベルは上の中にしたシリルがいる。
受付の男性に俺が「学園長にあいてぇー」というと、受付の男性が「お約束は？」と言われ、「ねぇーけど、この手紙渡してくれ」といって手紙をわたす。
手紙を受け取った男性の受付は、怪訝な顔をする。 毎回同じやり取りだな。
「見た事ない紋章ですが、一応確認してきますのでお待ちください」といい、学園長室にむかうのであった。
受付が学園長の所へ行っている間。
「俺、またやっぱり学生なのか？」というシリル。
「話あっただろ。 おめぇーのおかげで、おれとリンは学生しなくてすむんだ。 シリルは、学生要因だな」と苦笑いして言った。 本当、シリルの見た目のおかげで、俺は面倒な学生をしなくて済む。
シリルはシリルで、不貞腐れてる。
「分かってるぞ。 でも、嫌だぞ」と言っている。
「半年未満だ。 我慢しろ」
「わかったなのだぞ」ってすごく嫌そうだがあきらめた感じでいうシリルだ。
受付の男が、バタバタと慌てて走って戻ってきた。
「はぁはぁ、お、お待たせいたしました。 学園長がお会いになるそうです。 ご、ご案内します」って汗だくで、息が荒くしていう。 そこまで急がなくてもいいんだがな。
そんな、受付の男の案内で俺とシリルは学園長室に向かう。
学園長室の前で、男性の受付が「学園長、お連れしました」というと、中から声がし「部屋の中へお連れして、君は下がってよいのじゃ」という声がし、男性の受付が扉を開き「どうぞ中へ」といって俺とシリルが入室する。
学園長が既に立って待っている。
「はじめまして、私が本学園の学園長であるモリス・フロークスです。 どうぞ、おかけください黒帝の縁者様」といい頭を下げて、それからシュンとシリルをソファー席に案内する。
モリスがシュン達の対面の席にすわると、俺がタバコの火をつけて一服。
「ある意味かけだったが、引き継がれてんだな。あと敬語はいらねーぞ」というと、モリスが苦笑してるよ。
「助かるのじゃ。 まぁ、かなり昔じゃが魔道国家が侵略される直前じゃな、フリークス家に助けられたんじゃ。 古の盟約と伝承を途絶えさせるわけにはいかんとな。 王家がわすれておるからな。 とはいっても、儂はこうやってギルド経営の学園長じゃ。 あまり出来る事は限られておるんじゃが、今回のご訪問理由をおしえてほしいのじゃ？ 」ってモリス。
なるほどな、ジルの子孫の家系がか。 って、今は昔を懐かしむ時間ではなかったな。
「王国が召喚したやつらが、ここにいるって聞いてぇな、そいつらの事を聞きたくて来た」
モリスも察したようだ。
「やはりそうじゃったか。6名おる。 男が4人で女が2人だ。2年前からおるのでな、今最終学年じゃ。 本来は名門の王国の学園だったのじゃが、貴族慣れもしていないという事で、フリークス家の働きかけでなんとかこの学園にしておるのじゃ。 一緒に、王国の王女に騎士候補性やら貴族の嫡男以外の子息子女もおるがな。」と溜息をついているモリス。
「６名についてじゃが元々学生のようで同じクラスだったようじゃが、うち1名の男子はそこまで仲はよくないみたいで、今は現地のやつらと仲良くしているようじゃ。他1名の男子がかなり秀でておって勇者として今や人気じゃ。 あと女子1名も回復、浄化と防御に特化しておってな聖女として人気じゃ。とはいっても皆戦闘力は高い。学生レベルもはるかに超えておるし、ギルドランクは1人をのぞいてはSじゃ。 6名とも、この学園ではSクラスに所属しておるのじゃ。」と説明してくれた。
「ふーん、んで奴らの素行はどうだ？」
「1名を除く5名は正義感が強いというか使命感で団結しておる。 もう1名は自由にしておる感じじゃ。」って言って、モリスが俺たちに彼らの資料を渡してきた。
俺が資料をパラパラめくりながら読むが、学園の成績だったり、得意な武器や魔法ぐらいしか記載されてない。
「やっぱ、直接みねーとわかんねぇーな、シリル」って言って、シリルにも資料をわたした。
シリルもパラパラ内容を確認しつつ、「うん、わからないんだぞ」って言っている。
これは決まりだな。
「んじゃ、傍観でシリルをSクラスにいれてくれねーか？」
シリルは、やっぱり俺、学生かって顔してる。 あきらめろ。
「ああ、それぐらいなら問題ないのじゃ。 後期も始まって1か月じゃが、こちらで転入手続きはしておくのじゃが、さすがにSクラスに転入となるとじゃな、周りの教師陣の説得のためにギルドランクの確認が必要じゃ。 シリル君のギルドランクは？」
シリルの事は、伝わってないのか？ 黒帝の縁者にしたが。。
まぁいいか。
「ギルドランクはAだぞ」ってシリルが答えている。
「Bでもよかったんじゃが、問題ないのじゃ。 では、来週の月曜日に来てくれ。 制服からなにからは全部こちらで用意しておくのじゃ」っていうモリス。
「わかったのだぞ」っていうシリル。
「んじゃ、帰るな」といって、俺とシリルは転移して帰る事にした。
魔法発動禁止の結界が張ってあるのに、関係なく転移したシュンとシリルを見送ったモリス。
「伝承通りじゃな。 傍観者ならよいのだが」っと独り言をいうのであった。
◇◇◇
シュンとシリルが転移して帰った先は、迷宮都市の食堂である。
情報収集もかねて、食堂も開店する事にしたのだった。
水・木がカフェ。 木の夜が食堂で金曜と土曜の昼と夜が食堂である。 カフェは、リンとゲールで、食堂はシュン、リン、ゲールとなる。 日曜が魔の森で休息日にしたのである。
シリルは学園以外で、暇な時間は、読書、模擬戦、ダンジョンマスターと遊ぶ事にしている。
週3日のペースで、シュン、リン、シリルは魔大陸も含めたダンジョンの間引きも請け負っている。
今の所傍観だ。そんな理由から、俺達のペースは崩さないのである。
