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墓を更地にする

作者: 空き地を眺める


ひさしぶりに、

もう居ない人に会いに行った。


その人が居たところは無くなっていた。





何も無い空き地が広がる。



そこにはもう何も無い。


あの人がどこへ行ったのかもわからない。



戸惑いと哀しみ、

そんな気持ちが押し寄せてくる。



でも、温かい気持ちも、わずかだけれど残っている。





あの人は居た。


あの人への想いは、

わずかな温もりと共に、まだ胸に残っている。


あの人は今も、自分の中にいる。





ここにいる。





その想いと共に、



そうして、何も無い空き地を眺めた。








『このユーザは規約違反のために、運営により削除されました。』


このメッセージは予想外でした。



『このユーザはユーザ自身により既に退会されています。』


ご家族の方からの依頼で、このメッセージとともに、

あの人のユーザー名と作品は消えて逝くのだと思っていたのです。


たとえあの人が今は居ないとしてもです。




早朝、なんとなく見て覚えていた相互お気に入りのユーザーさんの数が、

ふと、そのあとに見たとき一人減っていることに気づいたのですね。


どなたかユーザーを非表示にしたのかな?と軽く考えていたのでした。


しばらくは誰が消えたかわからなかったのですが、

一番古い、もう居ないはずの相互お気に入りさんの名前が無くなっていたのでした。


感想欄を確認したら、こちらが作品へと書いた感想欄にはあの方の名前は無く、

以前に退会されてしまった他の方たちへと書いた作品への感想のように、

お返事をいただいた文章も、あの方の書いた作品名もそこから消えてしまっていて、

こちらが書いたあの方の作品への感想の文章だけが、浮き上がっているみたいに残っています。



いつか、そうなるだろうとは思っていました。


ネットだけの短い交流でしたから、

あまり、未練を残してもと思って、

作品をこっそりいただいておくこともしなかったし、感想の返事も残しませんでした。




なんとなく、ご家族の方が消さなければユーザーは残っている。


いつか消えてしまうまででいい。

それでいい。


そんな風に思っていたのです。




まあでも、運営に消されるとは思っていませんでした。


ちょっとだけ、表現しようもない、やりきれない気持ちになりますね。


供養代が届くことの絶えた墓が、墓石を撤去されてどかされて、知り合いがいたはずの更地となった場所を眺めるような、そんな空虚な感じを受けています。



どうしようもないことです。


仮にチェックされた文章への削除、変更依頼が運営から来たのかも知れませんが、


やりようはありませんね。

居ない人なのだから。

直さないとユーザー削除するというメールへも返事できない。

直すことだって出来ませんから。


今までユーザー名が残っていただけ僥倖なんですけどね。



それとも、居ないことが規約違反としてチェックされたんでしょうか?


それならば、退会ということにさせてあげたかったです。

あのメッセージを見て、そんなことを思ったのでした。



どちらにせよ、もう居ない人です。

ただちょっと、そんな気持ちを書いてみたくなりました。



ですから……、

拙いものですが、




この詩を、今はもういないあなたへ、

あの方へ捧げます。


迷惑かな。そうでないと良いのですけどね。


叶うのならば、

あの方が今もどこかで楽しくお話を書いて、そして幸せに大好きなお話を読んでいますように……。




追記です。


初めはあの人のユーザー名を書こうと思っていたのでしたけど、

こちらから削除された名前だからいいかなと思ったのですけど、

迷惑をかけたくないから自分が呼んでいた愛称だけ書きます(笑)


こちらのことを、みなさんと愛称で呼んでくれていたセミさん。

じゃあね。いつかまたどこかで。

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― 新着の感想 ―
[良い点] にゃんと、そんなことが……(´;ω;`)ぶわっ
[一言] 軽々しく聞くことじゃありませんが、 セミさんは、亡くなったんですか?
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