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リアル大学生日記  作者: ペンどら
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一日目、身体測定をした。

 今日から日記を書き始める。今まで何度も挑戦したが三日坊主になることが多かったが、今度こそ続くことを願おう。まぁ、気ままに続けるがな。

 5月3日火曜日、今日はとても天気がいい。

今日から日記を書くことにした。いままで、書いては辞め書いては忘れを繰り返していたが今度こそ本気だ。

だが、毎日変わったことが起きるわけでもなく淡々と日々が流れていくばかりだ。何か面白いことはおこらんかな?まぁ、気長に待つとしよう。

 では、今日の話をしよう。今日は、学校内の一員として新たに加わった1年生とともに身体測定をする日だ。

私は、一人でそれぞれの競技をこなしていった。握力、反復横飛び、長座体前屈やっていて楽しいものではないが一度夢中になると案外向きになってしまう。ある程度、回り終わって次の測定に行こうと思い体育館に向かった時、私はその男に出会った。

 背丈は軽く190センチメートルはあるのではないかと思われる大男だ。190なら探せば見つかるだろう、しかし大男という表現を背ざる負えないのは身長のせいだけではない。なんといってもその体格だろう。男の中の男、わが大学にラグビー部があれば真っ先に勧誘が来るであろう熊のように迫力のある図体を持っていた。私はこの男を見たとき不意に2つの感情が芽生えた。それは、男としての尊敬と、生物としての闘争心である。私はこの男に勝ちたい、そう思ってしまったのだ。心が決まれば後は早い、私は男の跡をつけ体育館へ入った。 そこでは、聞きなれた音が響き渡っていた。それは黒板をひっかく音や発泡スチロールをこすり合わせる音のような周波数がどうのこうのというはなしの類ではなく、歯医者の歯を削る音のようなトラウマからくる不快感だった。「テ、テ、テ、テ、テ、テ、テ、テ、デューン」。そう、シャトルランだ。私は、意図的にこの競技を避けていたのが、仇となったなことに後悔しつつ列に並んだ。私の前には大男。

 その時、背後に視線を感じた。はっと後ろを振り返ると目に火をともした男たちがいた。彼らもまたこの大男に魅入ったオスなのだ。決闘の時間は刻一刻と近づいて行った。前のグループが終わり、そしていよいよ私の番だな。そう思うとワクワクとともに強烈な緊張感に包まれた。私達は列を乱さぬよう一列となり前へ前へと進んでいった。そして、12人集まったところで締め切られた。その中に奴はいた。競技用ピストルが鳴り、みな一斉に走り出した。それは、まるで青春もののスポーツ映画を見ているようだった。目の前で男たちがそれぞれのせい一杯を振り絞り走っている。ある者は息を切らせ、またある達は隣には負けないとお互いの限界を伸ばしあっている。だがしかし、そんな時間が無限に続くわけもなくひとり、また一人と脱落者がでていた。その中にまだ、やつはいなかった。大男は走っていた。私は感動した。汗をかきながら、苦痛を顔に浮かべながら、ただひたすらに前を見て走り続ける男の姿に感銘を受けたのだ。

 結局、男は84回と平均より少し上という結果に終わったがそれは、結果に過ぎない。あの空間では男は結果には残らないほどの感動を私たちに与えてくれたのだ。ありがとう。私が男の走りざまに余韻を感じがていると係員の方の声が聞こえた。では、一番前の人から順に詰めて並んでください。私は言われるがままに奥に行き、ひっそりとつぶやいた。「さぁ、頑張るぞ」。

 結果はいうまでもない。普段から3階の教室に行くときでさえ、エレベーターを使うような男だ。しかし、重要なのは結果ではないことを私はよく知っている。今度、彼にあった際には、一言声をかけてみたいものだ。まぁ、やつはキョトンとするだろうが。その顔を思い浮かべると不思議と笑みがこぼれた。


 あとがき、あの日以来筋トレを始めた。毎週3日腹筋30回をこなすが、まだ割れる気配はない。しかし、明らかな目標が学校内にいるのでまだまだ続けられそうだ。やつとはあれ以来あっていないが次に会った際には今度は向こうから挑戦してくるような男になってやろう。さぁ、今日のノルマをこなすか。

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