聖なる能力
〜前回のおさらい〜
突然ひかりの家に家庭訪問…という建前で掃除をしにやってきたほたるとかえで。
どうやらほたるは虫が大の苦手らしく、普段とは違った女の子らしい一面を見せるなど、部員のことをまた一つ知ることが出来たひかりであった。
4月20日
「ひかりの部屋」AM9:00
割と綺麗になった部屋でひかりは寝息を立てて寝ていた。
「くかー…すぴー…」
すると突然ドアが開き、何者かが入ってきたのだ。
「もう…また鍵開けっぱはしにして…そろそろキツく言わなきゃ…」
そこにいたのはみずきだった。
「あっ、部屋が割と綺麗になってる…先輩、頑張ってくれたんだ…」
みずきは部屋の奥に進み、布団に潜っているひかりを起こそうとする。
「ひかりちゃーん、起きてー、大事な話があるって先輩が言ってたよー、今すぐ学校に来いってー」
「んー…なぁんだみずきちゃん?今日日曜日じゃん、ゆっくり寝かせてよ…ふわぁあ…」
ひかりは起き上がったものの、まだ眠そうだ。
「ほら、先輩の呼び出しなんだから。遅刻厳禁だよ?」
「わーったよ…目的地は学校ね…」
フラフラしつつも制服に着替え、準備を整える。
「準備できた?それじゃ行くよ?」
「ふぁーい…」
2人は部屋を出て、歩き出した。
「あ、そうだひかりちゃん!部屋のカギ、あれだけ閉めなさいって言ったのにまた開けっ放し!何かあったらどうするの!!」
「う、うぅ…そう怒りなさんな…」
みずきの説教を受けながらひかりは歩いていた。
「壱戸瀬高校 魔研部部室」AM9:30
「おはようございまーす」
「おはよ…ござま…すー……」
部室には既にほたるとかえでが居た。
「よく来たな2人共。とりあえず奥に来てくれ、裏世界に行く。」
4人は裏世界へ向かった。
「裏世界・壱戸瀬高校魔研部部室」時刻不明
裏世界に着いた4人。ひかりは今にも寝そうな顔だ。
「それで、話って…なんですか?」
みずきが不安そうに問う。
「あぁ、君たちに「能力」を授ける…と言うかなんというか…んーと…」
悩むほたる。そこにかえでがフォローに入る。
「簡単に言うと「使えるようにする」、ね?」
「なるほど。それで具体的にはどうするんですか?」
「方法は簡単だ。…念じるだけ。」
「念じる…だけ??」
やや理解出来ていない様子のみずき。
「そう、念じるだけだ。試しにやってごら…!?」
「ど、どうしたの?!ほたる!なにかあっ…!?」
「ん?どうしたんですか、せんぱ……ぇえ!?」
驚く3人。その先にあるのは立ったまま眠っているひかりから放たれている眩しい光だった。
本人は熟睡しているようだが。
「くかー…すー…くかー…」
何が何だかわからないみずき。
「え、えぇ!?ひかりちゃん!?」
「この光…!かえで、これはまさか…!」
「えぇ、間違いないわ…まさかこの子が…!」
「せ、先輩!?何がどうなってるんですか!?」
部屋中眩しい光で満たされ、とても明るくなっていた。
「彼女は…春咲ひかりは…「光の能力」の中でも最強クラスの能力、「聖なる光の能力」を使えるというのか…!」
「素晴らしいわひかりちゃん!これなら「ヤツ」も…!」
「なんだかよく分からないけど…すごいんですね…」
光を浴びながらみずきは思った。
「(まさかひかりちゃんがこんな凄い力を使えるなんて…しかも最強クラスって…)」
「さぁ、次はみずきちゃんの番よ!」
「えっ、わ、私!?」
「念じるだけで大丈夫だ、心配するな!」
「は、はいっ!」
そう言ってみずきは念じ始めた。
…するとその時、床が水で満たされ始めた。
「…わっ、な、何これ!み、水が…!」
「みずきちゃん!そのまま!力を緩めないで!」
「はっ、はい!!」
みるみるうちに部屋の床は水で満たされた。4人は立ったまま、びしょ濡れになっていた。
「…これが…私の能力…?」
「…ねぇ、ほたる。こんなことって…」
「あぁ、だが今目の前でそれは起こっている。紛れもない現実だ。」
2人はまた驚いた顔をしていた。
「…先輩?どうしたんですか?」
しばらく顔を見あわせたほたるとかえで。しばらくして、みずきの能力について説明を始める。
「みずきちゃんは「聖なる水の能力」…まさか連続で聖なる能力を使える子に出会うなんて…!これはこの先の戦いも有利になりそうだわ!!」
「あぁ、頼もしい仲間が増えて…まさに「鬼に金棒」状態だな!」
喜ぶほたるとかえで。その様子を眺め、少し微笑むみずき。
…しかし相変わらずひかりは眠ったままだ。
「…って、いつまで寝てるのひかりちゃーん!!」
「びゃああああ冷たい冷たい冷たい冷たい!!」
遂に能力を手に入れた2人。
この先、シーズンブレイカーとの戦いも激しくなるであろう。果たして魔研部の少女達は戦いに勝利することが出来るのか…