モルガナとアルヴァー
私、モルガナ=アーレンスは下級貴族の女に生まれ、魔術の世界に没頭して現在、両親の反対をおしきって騎士団の一級魔術師に。
そして今日には、副団長アルヴァー=ベールケの直属の部下に配属されることになったのですが。
こげ茶色の長い髪をサイドポニーに、鏡に映る青い目を見て、私は頷いた。
今日は上司、アルヴァーとの顔合わせだ、さすがに身なりにも多少気をつけなくては。
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「よろしく、モルガナ」
長身の金髪碧眼、副団長アルヴァーの表情は笑顔をつくろっているが盛大に引きつっていた。
握手に差し出された手を握り返すのも躊躇うほど。
噂によれば悪い人ではない、むしろ良い人だと聞いていた私は考える。
「……ええ、よろしくおねがいします、ところで私なにかしてしまいましたか?」
思わずそう尋ねたくなるほどだった。
「……すまない、見て分かるほどだろうか」
「ええ」
モルガナに握手をするつもりがないと察して、アルヴァーは手を引っ込めた。
「君が何か悪いわけじゃないんだ、ただ、その、君が女性だとは思わなかったよ、稀代の魔術師だと聞いていたから」
「なるほどつまり女嫌いということですか、そういう趣味でも?」
「君にはそういう趣味があるのかい」
アルヴァーは引きつった笑顔でそう返した。
「たしなむ程度に」
「君が思うようなことは何もないが、ただ、ちょっとした事情があって苦手なんだ、できれば距離をあけて接して欲しい」
「それが命令なら従います」
ちょっとした事情といいますが、客観的に見ればであって、この人にとって重たい事情なのでしょう。
そう考えて私は返事をした。
そうして奇妙な上司と部下の関係が始まったのでした。




