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もういいよ  作者: SIN
7/10

デトックス

 フランクフルトが食べたい。

 買い物に行った時の事、美味しそうなフランクフルトが目に飛び込んできた。

 いつもならば、食べた後に襲い掛かってくるだろう痛みを想像すれば自然と食べたいと言う欲求は治まるのだが、その時は何をどうしても食べたいと思った。

 1本100円でお買い上げ。

 家に帰ってからマスタードとケチャップを付け、良く噛んで、かみ締めながらゆっくりと食べた。

 もちろん食後に薬10錠忘れずに。

 しばらく後にやってきた、胃もたれ。

 うん、来る事は分かっていたさ。と素直に受け入れ、もたれている位はどうって事はないと思いながら過ごす事しばし、重みが増してきた。

 知ってた!と、これもまた受け入れて待っていると、ゲフッとゲップが出た。

 ん?いつもとなんか違う。

 いつもは胃腸がちゃんと動き出してからゲフッ。そして回復に向かう。それなのに、胃腸がまだちゃんと動いていないのにゲップが出た。

 グルグル鳴っていないけど、胃腸は動いていたのか?しかしゲップが出ても胃は鈍痛を止めない。

 ここへ来てまさかの悪化?

 いや、認めない。もしかしたらフランクフルトの中になにかアレルギー物質が入っていたのかも知れないし、俺にとって1本は多かったのかも知れない。

 それだけだ。

 しばらく大人しくしていたら治まる筈だ。

 徐々に嫌な痛みを放ち始める胃を誤魔化す為、拳を胃にあてて、うつ伏せに寝転がる。

 治まれ、治まれ……。

 ギリギリギリ、キューーー。

 なんじゃこれぇ!めっさ痛い!

 防衛本能でも働いたのだろうか、とてつもない痛みが襲い掛かってきた直後に、抗えない程の眠気に襲われ、そのままパタリと眠った。

 目覚めたのは1時間程経ってからで、その頃には胃は鈍痛を放っているだけになっていた。

 お茶すら飲むのが恐ろしいので白湯を飲みながらインターネットで再び調べてみると、胃腸の究極的なリセット方法を見つけた。

 その名も、断食。

 最終手段として試してくださいと注意書きがあったが、自分の今の状態は最終手段を使うべき時だと思った。

 まずは難易度の低い週末断食から。

 方法は至ってシンプル、金曜日の朝食と昼食は普通に食べ、夕食を少なめにするだけ。土曜は水のみで過ごし、日曜から月曜の朝まで回復食。

 これだけである。

 こんな簡単な事で胃腸の調子がリセット出来るのなら、こんなに有り難い事はない。

 早速試した。

 金曜日の朝食は野菜ジュースと薬を10錠。昼食はうどんを半分と薬を10錠。夕食は昼間に残したうどん半玉と薬を8錠。

 昼食よりも夕食を少なめにしなければならないのに、うどん半玉と言う同じ量を食べてしまったので、薬を少し減らしてみた。

 土曜日、朝食に白湯。昼食に白湯。夕食に白湯。

 特に苦でもなんでもなく1日断食が終わり、日曜日の回復食。

 朝食は重湯。作り方は至ってシンプルに極々少量の米を水で煮ただけのもの。味付けはひとつまみの塩。

 昼食は具なし味噌汁。

 夕食はコンソメを少量加えた湯の中に千切りにしたキャベツを入れ、くたくたになるまで煮つめたスープ。

 こうして究極的な胃腸リセットを終えたわけだが、流石にスグにカップメンやらフランクフルトを試そうという気が起きなかったので、そこから更に3日回復食を続けた。

 とは言っても、普段とあまり変わらないメニューだから辛さは全くなかった。

 そしてデトックス終了から4日目の夕食に取り出したるは、過去に2回撃沈させられたカップメン、しょうゆ味。

 緊張の面持ちで入れるお湯、大丈夫だろうか?と思いながら待つ4分。

 蓋を取ると、美味しそうな醤油の香りがフワッと広がった。

 イタダキマス……。

 1本1本かみ締めながら、かなりの時間をかけて半分食べた。

 胃の為に半分にしておこうとか、そう言うのではなく、半分しか食べられなくなっていたのだ。

 しばらく経っても痛まないし、重くもならない。肩がこる事もなければ気分が悪くなる事もない。

 やった、食べられた!

 パァと視界が明るくなった気がした。

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