目が悪い
目が非常に悪いので、家ではメガネをかけている。
100均で買った老眼鏡+0.5だ。
最近それでも良く見えなくなってきていると言うのに、裸眼だと何がなんだか全く分からない。
ボンヤリとしている視界でも色は見えているので、何処に何があるのかは分かるし、普通に道を歩く事は出来る。ただし、読めない。
小さな文字が見えないとかそう言うレベルではなく、全体的にぼやけているので、大きな文字だろうがなんだろうが解析不可能。
ジィーと眺めて焦点が合うまで待たなければ、文字列はただの模様である。
だったらメガネをかけて買い物に行けば良いだけと言われてしまうのだろうが、この見え辛い視界は、極度の人見知りにとっては寧ろありがたいのだ。
誰の顔も見なくて済む。
知り合いに話しかけられると、誰か分からないので少々顔を凝視する時間が生じてしまうのではいか……。
でも、それは大丈夫。
何故なら、知り合いなんか極々少数しかいないのだから。
しかも、その極々少数の知り合いの声をしっかりと記憶しているから声をかけられた時点で誰なのか判断可能!
こんな目の悪さでは、書類に字を書く時も一苦労で、ここにサインをお願いしますと紙とペンを手渡されても、何処に?となる。
住所、名前、電話番号。そんな小さな文字で書かれた項目なんか、見える訳がない。そして、自分で書いている文字だって見えている訳がない。
実際、名前の欄に住所を書いた事がある程だ。
名前の欄の下に住所の欄があるものだと思っていたので、疑いもなく書いたのに、まさか名前の欄の下に、世帯主の名前の項目があろうとは。
と、こんな有様なので、主食であるカップラーメンのアレルギー成分表なんてものが読める訳がないのだ。
食べて気分が悪くなって初めてメガネをかけて確認し、サバの文字を見つける。
サバが入っていると言う先入観もなく食べているのに、きっちりと胃痛と吐き気が出るんだから、気のせいでも、好き嫌いでもなく、ちゃんと食べられない物なのだ。
しかし困った事に、その食べられない物が入っているカップメンは、大体美味しい。なので半分だけなら大丈夫かも?3分の1位なら……一口だけなら!と、食べてしまう。
残ったのは弟にあげるので無駄にはしていないのだが、1口だけなら大丈夫な物もあれば、駄目なものもあって、半分食べても大丈夫なものもあったり。
症状が出ていないから大丈夫。
そんな訳はない。
しっかりと胃腸は弱っていく。
大丈夫な物なら、満腹になるまで大丈夫だった胃腸が、少し食べ過ぎたかも?でキリキリと痛むようになるのだ。
そんな時はスグに胃腸薬。
右を下にして横になり、胃痛が去るのを大人しく待つ。
グルグルと胃腸が動き出し、
ゲフッっとゲップが出たらこっちのもの、脅威は去ったのだ。
こうしてダイエットの為ではなく、確実に、正確な腹八分目を目指さなければならなくなった。
主食のカップメンですら1つ食べきってしまうと駄目になる。
そこで編み出したのは、スープ全部残し。
これでも充分満腹にはなるのだが、なにがどう良いのか分からないが、これで胃痛にまで発展する事は、しばらくの間はなかった。