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私が人生で一番多く見た色は多分、白と黒だろう。部屋の色と夜の色。その二つが私の一番身近にあった。
私が人生で一番多く見た顔は母だ。仕事が忙しい中、毎日とはいかないまでも数日に一回は顔を見せてくれた。私にとって唯一無二の家族。
私の人生で一番記憶に強く残っている事は最愛の母と、共に生きると言ってくれた静治、そして約二週間という短い期間、私から孤独を消してくれた瑛子さんだろう。
『人生は短い』。いつだったか、テレビで見た番組でそんな言葉があった。確かにそうなのだろう。一生懸命生きている人にとって、時間はあっという間に過ぎていく。だとしたら私の十七歳の四月は、一生懸命生きるに値した一カ月なのかもしれない。
思い返してみればとても早く過ぎ去った時期だった。今までとは違って何倍も何十倍も、何百倍も充実していた。
だからこそ、充実した毎日の後に別れが訪れると、私は身が張り裂けそうなほど悲しかった。
それでも私は後悔しない。
そういう生き方をすると決めたのだから。




