叩く前から埃が出たぞ
ドラゴンはまだ出てきません。でも若い女の子は出てきました。
「しかし、このままでは、身柄を送検するにも些か決め手に欠けるのう。」
「そうですね、連行する間も言い掛かりだ不当逮捕だと喚いてましたが、まあ『ああゆう人柄』だと調べれば余罪が出るでしょう。」
最悪何も出なくても、何故か親切な匿名希望の方から証拠の品が届いたりすることもある、例えば宰相府とか貴族院監査室とか、いろいろゴニョゴニョな所とか……
「アレス、トラブィス太守。シグラスの次男が捕まったって本当ですか?」
連れ立って太守の執務室へ向かっていると騎士団付き治癒術師のマリエラが追いかけて来た。
「どうしたマリエラ?リドル卿なら今さっき上牢に入っていただいたぜ、(声を潜めて)ディーナちゃんを捜しに来たらしい。」
「はぁ?何それ?ロリコン?」
心底嫌そうな声で、マリエラが顔をしかめる。
「いやいや、リドル卿は相手の年齢も外見も知らないから、(再び声を潜めて)竜の方だよ、自分ならば活用して見せます、王国に貢献して見せますって」
あの馬鹿にそんな性癖が無いかどうかは知らないが、今回の目的は違うことだけは言っておく。
「あぁ、ここでもそんな事を言ってんのね、先ず前提が他力本願じゃないの!」
「ここでも?じゃあ奴は何処で何をしたんだ?」
憤慨するマリエラに、ドレイクが聞きとがめる。
「実家の牧場にやって来て、目をつけたスレイブニルの子馬と一角竜の雛を連れ出そうとしたのよ!軍に納入予定の子達だったから断ったら、牧童頭が切り付けられて執事が蹴られたそうよ。」
ちなみにスレイブニルは6本脚の巨大馬、一角竜は外見が全身鱗のユニコーンなトカゲ。
「『軍馬』の横取りじゃとぉ」
トラブィス太守が唖然としている、貴族の常識では有り得ない。
「それでその後どうなった?」
「納期間際の仕上げで鞍も手綱も付いてたから、蹴り倒した執事に相場の十分の一にも足りない代金を投げ渡して、手綱を掴もうとしたんだけど、ウチの子達は知らない相手に従うような育て方はしてないもの、首の一振りで振り払われて、そこにタームス公爵と軍の厩舎の人が仕上がり具合を見に来たの、リドル卿は逃げ出したわ、実家はタームス公爵領内に在るから。」
調べる前から、余罪が出てきたぞ。
「それで、何故あの馬鹿は未だに大手を振って外を出歩けるんだ?普通それだけでも捕まるだろうが」
「軍馬は盗めなかったし、被害に遭った牧童頭と執事は平民、アイツは貴族。」
「あぁ、泣き寝入りしかないか?」
こいつがそんな大人しい性格では無いはず。
「大丈夫よミザナリアナ様に一部始終全部話したから、あの馬鹿はコディの所にも押しかけて行ったわよ、ワイバーンを売れって、在庫が無かったから無い袖は振れなかったそうだけど。あんな重いのに乗られたら可哀相よね。」
コディはマリエラの友人で、王室御用達しの魔獣商人の娘だ、本人はテイマーでもある。
それにしても、次々出てくるな……
「待て、どうしてそこにミザナリアナ様の名前が出てくる?」
ミザナリアナ-タームス公爵家令嬢、タームス現公爵の孫娘、辣腕の女性官僚。
ドレイク隊長の外見は、背の高いドワーフ(注 でも人間)
本文中にまだ入れられないので…