殿下の理由?
タイゼンさんが戻って来た。
竜術士のお爺さんを連れている。確か、ギムルという名前の偉い人だ。
「この竜はワシが見とるから、おまえたちは殿下を捜しに行ってきなさい」
そう言われて、私とタイゼンさんはクルトに乗って出発しようとした。
すると銀竜も後を付いて来ようとしたが、ギムル様に止められた。
「おまえはここにいなさい」
「クルルゥ」
銀竜が不満そうに鳴く。けれどギムル様が結界を張ったようで、竜舎から出られなかった。
私たちは、再び殿下を捜しにデュマに向かった。
デュマに着くと、私はキュアーと同調して術の形跡を探った。
その間も、タイゼンさんは殿下がいないか辺りに目を光らせている。
殿下の術の形跡らしきものを見つけると、私たちはその方向に歩き出した。
しばらく行くと、タイゼンさんが殿下らしき人を見つけた。
私たちはその人に近付いて行った。
「やあ。今日はいつもより遅かったね。何かあったの?」
殿下はいつも慌てない。見つけられるのを待っているようにも見える。
「血まみれの竜と遭遇したんですよ」
タイゼンさんがそう言うと、殿下は興味を惹かれたように「へえ……」と言った。
「だから早く帰りましょう」
タイゼンさんの言葉に、いつもはもう少しと言う殿下も大人しく帰ると言った。
(殿下は何のために海辺の町に来るんだろう)
いつも疑問に思う。
殿下に直接訊いてもはぐらかされてしまうけど、何か理由があるはずだ。
(それが分かっても、きっと殿下を止めることなんてできないけど)
それでもいつか理由が知りたいと思った。




