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恵まれている?
「では、帰ろう」
ガーランドさんが戻って来たので、私たちは城に戻ることになった。
「結界はあのままでいいんですか?」
私が訊くと、グレイス様は「そのままでいい」と言った。
「結界は二、三日で解ける。その間に村の中を完全に清めてくれるだろう」
(そうか。浄化の術も掛けてあるんだっけ)
「……いつもはグレイス様一人で全員を看てるんですか?」
「ああ。人数が多い時は一か所に集めて、今回のように結界を張って治している」
流行り病の場合は、そうやって治すことが多いそうだ。
竜術士は若い人ほど遠くに仕事に行くのだと聞いたことがある。だから私が一人前になったら、グレイス様も少しは楽になるかな、と思った。
(それに、ウィンゼルもいるし)
ウィンゼルの師匠は城の外での仕事が少ないので、彼は王都の治療院などに一人で通って修行しているらしい。
師匠によって修行の仕方はそれぞれだけど、一人前になってからは竜術士として同じように仕事を任されるから、早くから各地での仕事に慣れておいたほうが後で楽なのにと、ウィンゼルが言っていたのを聞いたことがある。
だから、グレイス様と一緒に各地で修行ができる私は恵まれているのかもしれない。
ガーランドさんが呼び寄せたリーズに乗って城へと帰りながら、私はそんなことを考えていた。




