得手不得手?
部屋を移ってからも、カーラさんが私付きの侍女さんだったのでホッとした。
昼食の時、私はカーラさんに、いつから勉強を始めるのか訊いてみた。
「明日からと聞いておりますので、朝食の後にグレイス様のお部屋をお訪ねして下さいね」
やっと弟子としての予定が決まってホッとした。
「じゃあ、今日はこの後何をしたらいいんですか?」
また部屋にいるだけなのかと思って訊いてみたら、意外な答えが返ってきた。
「よろしければ、竜舎にご案内致しますが」
どうしますか、と問い返されて、私は行きます! と返事をした。
ついでに、グレイス様のパートナーの竜についても訊いてみた。
「グレイス様は竜術士ですので、特定の竜をパートナーにしてはおりませんよ」
「じゃあ、どんな竜とも力を合わせることができるってことですか?」
そんなことが、私にもできるのだろうか?
「すべての竜というわけではありませんが、様々な竜とパートナーを組むことができるようです」
「竜術士は皆、そうなんですか?」
「ええ。皆様、特定のパートナーは持たずに、目的に合わせてパートナーを選んでいるようです」
「目的?」
「例えば、癒しの術をかける時には、癒しの術が得意な竜をパートナーに選んでいるようです」
「竜には得意な術とかあるんですか?」
「はい。人と同じで、得手不得手があるようですよ」
……それなら私も、キュアー以外の竜とパートナーを組むこともあるのだろう。
(キューちゃんの得意な術って何だろう?)
パートナーを組めるような術が得意だったらいいな、と思った。




