知らないことばかり?
カーラさんにグレイス様のことを尋ねたら、今はもう帰って来ているということだった。
部屋にもそのうち戻ってくるというので、私は早々にこの場を立ち去ることにした。
自分用の部屋に戻って鍵を掛けるとホッとした。いきなり部屋で鉢合わせは、なんだか気まずいと思ったのだ。
カーラさんが出て行って一人になると、バスケットを開けてキュアーの様子を確かめた。
キュアーは起きていた。
「キューちゃん、ちゃんと大人しくしてて偉いね」
「キュ」
キュアーが元気良く返事をする。
頭を撫でてやりながら、私はキュアーに話しかけた。
「今日から一緒に頑張ろうね」
「キュ」
私は、キュアーが小さくて良かったと思った。
ラファンのように大きかったら、同じ部屋で過ごすことはできなかっただろう。
(ライドさんは、ラファンと一緒の部屋じゃなくても寂しくないのかな)
キュアーと一緒でないと寂しいと感じるのは、私がまだ子供だからかもしれない。
(そういえば、グレイス様のパートナーの竜はどこにいるんだろう?)
竜騎士と違って、竜術士にはパートナーの竜はいないのだろうか。……でも、竜と力を合わせて術を使うって言ってたし、パートナーは必要なはずだ。
(そういうことも、これから色々教えてもらえるのだろうけど……)
私は知らないことばかりだと、早く勉強を始めたいと思った。




