トカゲで納得しない?
セイジさんは、羽のあるトカゲに似た生き物は竜くらいしかいないと言う。
しかし竜はとても大きな生き物で、村で飼うのは無理だと言われた。
「じゃあ、大きくなるまでならいいでしょう?」
「大きくなったらどうするんだい?」
「その時は森に帰します」
「でもなあ…」
「それより、竜の赤ちゃんは何を食べるんですか?」
強引に話題を変えて、最初の目的だった質問をする。
「たしか竜は雑食のはずだ」
「何でも食べるってことですか?」
「肉が好きかもしれんが…」
「でも何でも食べるんですね?」
「まぁ、そうだな。たぶん」
さすがのセイジさんでも、はっきりとは言えないようだ。
「王都には竜騎士がいるから、人が飼うことはできるだろうが…」
やっぱり村で飼うのは反対らしい。
何と言われようと、キューちゃんを飼うのは決定だ。あとはどうやって両親の説得をするか…。
「ただいま」
「おかえり。そのトカゲ、何を食べるって?」
家に帰ると母が言った。母の中では、トカゲということになっているらしい。
「雑食だって言ってたよ」
このままトカゲだということにできないかな。
(お父さんさえ疑ってなければなあ…)
母と姉はトカゲで納得してるのに。なんで父は納得しないんだ。