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場違い?
案内された部屋はとても広かった。
家具も、物語のお姫様が使いそうな物で、なんだか自分が場違いな気がしてきた。
「本当にこの部屋を使っていいんですか?」
「ああ。……気に入らなかったか?」
「いえ! 気に入らないとかじゃなくて、立派過ぎて、私なんかが使っていいのかと思って」
「……ここは、皆こんなものだ。気にせず使えばいい」
夕食までここで休むようにと言って、グレイス様は出ていった。
一人残されて、改めて部屋を見回す。
……広過ぎて落ち着かない。
私はバスケットを開けて、キュアーを起こした。
「キューちゃん、お城に着いたよ」
角をつつくと、キュアーが起きた。
「キュ?」
不思議そうに辺りを見回している。
「お城の中の部屋だよ。私の部屋の何倍も広いでしょう?」
「キュ」
キュアーはバスケットから出て、部屋の中を確かめるように飛び回った。
それから私のところに戻ってきて、胸元に飛び込むように着地した。
「キュ」
甘えるように頭を擦りつけてきたキュアーを撫でて、一人きりじゃなくて良かったと思った。




