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キューちゃん?
(珍しいトカゲ…)
トカゲなら危険はないだろうと近付いてみる。 すぐそばにしゃがんで見ていると、トカゲがよたよたと近付いてくる。少し緊張して見ていると、トカゲは足元の匂いを嗅ぐような仕草をしてから顔を上げた。
(あ、可愛い…!)
縦長の瞳孔の黄色い目が、不思議そうに見つめている。そのキョトンとした様子が愛らしかった。
「お前、親はどうしたの?」
話しかけると、トカゲはキュ?と鳴いて首を傾げた。
「~~可愛い…!」
あまりの可愛さに指で角を撫でると、トカゲは猫のように頭を擦りつけてきた。
「可愛い!」
「キュ」
トカゲが返事をするように鳴く。それがまた可愛いかった。
ゆっくりと手で掬って抱き上げると、トカゲは甘えるように体を擦りつけてきた。
「キューちゃん家に帰ろうね」
頭を撫でながら立ち上がって、家に帰るべく歩き出した。
頭の中は、母に何と言ってこのトカゲを飼う許可を貰おうかと、それだけでいっぱいだった。