珍しい?
ライドはその場を取り繕うように一つ咳をすると、真剣な面持ちで話し出した。
「騎獣になるのは大人の竜だけだし、今までに子供の竜を見たという報告もなかった。だから、卵を見つけて、それが孵ったというのは凄いことなんだ」
それでは、子竜はずいぶんと珍しい生き物なのだろう。
私は、胸に抱いたキュアーの身体を撫でながら思った。
(研究とかで、何か変なことされたらどうしよう)
心配になって、ますます手放したくなくなった。
「貴重な子竜だ。成長記録を付けたいのだが……」
グレイスがそう言って、私を見た。
「竜の世話係になりたいというのは、君だろうか」
私は慌てて言った。
「私、キューちゃんと離れたくないんです!」
「……キューちゃん?」
「キュアーですよ!」
グレイスの呟きに、セイジさんが慌てて応える。セイジさんは“キューちゃん”と紹介するのが恥ずかしいらしい。
「子竜の名前は、キュアーです」
「なるほど、それで“キューちゃん”か……」
そう言ってグレイスが、ふっと笑った。……その顔が、なんだか優しそうに見えた。
(意外といい人なのかも)
ちょっとだけ、印象が良くなった。
(でも、キューちゃんは渡さないんだから)
改めて決意した。