見たことない?
皆の所に戻ると、二人の客人の視線がキュアーに集まった。
「それが竜の子か……ずいぶん小さいのだな……」
グレイスが、キュアーを見ながら呟いた。
(え! キューちゃん普通より小さいの!?)
成長が遅いのかもしれない。何か、育て方が悪かったのだろうか。
「あの……普通はどのくらいの大きさなんですか?」
気になったので、恐る恐る訊いてみた。
「普通は、私たちが乗ってきた竜くらいだ」
グレイスが当然のことのように言ったけど、それは大人の竜のことではないのだろうか。
「それは、大人の竜のことでしょう? 彼女が訊いてるのは、子供の竜のことですよ」
セイジさんが、私の言いたいことを言ってくれた。
するとグレイスは言葉に詰まって、それから意外なことを言った。
「……子供の竜を見るのは初めてだ」
「え!?」
皆が驚いて彼を見る。すると、ライドという名の、もう一人の男が言った。
「私たちは、竜の卵も、子供も、見たことがなかったんだ」
(ええっ!? 竜の専門家なんじゃないの!?)
本当にこの人たちに預けていいのか、不安になってきた。
なんとも言えない気まずい沈黙が、その場に流れたのだった。