キュアーに夢中?
食事が終わって、今度こそガルドさんの家に行こうとしたら、ルゥイがキュアーを離したがらないので困ってしまった。
「わかった。じゃあキュアーは預けていくから」
「やったー」
仕方なくキュアーを置いて行こうとしたら、今度はキュアーが嫌がった。
「キュウー」
キュアーが飛んできて、私の肩にしがみついた。
「キューちゃん」
私が撫でるとぐりぐりと頭を擦りつけてくる。
そんなキュアーも可愛くて、置いて行くのは忍びない。
どうしようか考えていると、ルゥイが「じゃあ俺も行く」と言い出した。
ガルドさんの家に行くと、殿下たちは食後のお茶を飲んでいるところだった。
「リゼ、どうしたんだい?」
「あの……私、グレイス様に謝ろうと思って」
「グレイスに?」
「はい」
不思議そうに首を傾げる殿下に答えてから、私はグレイス様に謝った。
「グレイス様、巻き込んでしまって、すみませんでした」
グレイス様は、頭を下げる私に「謝らなくていい」と言って、頭を撫でてくれた。
その優しさが、涙が出そうになるくらい嬉しかった。
「なんか分からんが、おまえたちも茶でも飲んでいけ」
ガルドさんがそう言ってくれたので、私とルゥイもお茶をご馳走になることにした。
お茶の間もルゥイはキュアーを離したがらず、ずっと構い続けていた。
私はルゥイにキュアーを預けて、ガルドさんや殿下が話すのを聞いていた。
「じゃあ、竜の力で遠くから来ちまって、帰れるか分からないんだな?」
ガルドさんには未来から来たとは言わずに、遠い所から来たと説明していた。
「それで、また後で試してみるつもりなんだけど、それまで居ても構わないかな?」
「ああ。うちはこの通り男の一人暮らしだけど、こんなとこで良ければ泊まっていってくれ」
「すまない」
「ありがとうございます」
殿下とグレイス様がガルドさんにお礼を言う。
しかし、私はまた試すという言葉に驚いていた。
(また試すの!? ……あ、そっか、グレイス様なら成功するかも)
私は気が軽くなっていくのを感じた。
グレイス様の存在が、何より心強かった。