またルゥイの家に?
殿下はグレイス様に、今まで私たちに起こったことを説明した。
そしてうなだれる私に言ってくれた。
「リゼ、自分を責めるんじゃないよ」
「リゼ、おまえのせいではない」
グレイス様もそう言ってくれるけれど、どう考えても私のせいだった。
「リゼ、もう一度、ルゥイの村に戻ろう」
「でも……」
「大丈夫。ルゥイたちには、またすぐに戻ってくるかもしれないって言ってあるから」
殿下がそう言ってくれたけど、私はもう動く気力もなかった。
するとグレイス様が、いきなり私の身体を抱き上げた。
「グレイス様っ!?」
「殿下、ルゥイという者の村に行きましょう」
「ああ。……デュマに乗せてくれるように言ってくれ」
「わかりました」
グレイス様は私を抱き上げたまま、デュマに私たちを乗せるように言った。
デュマは初めは知らんぷりしていたけど、グレイス様にもう一度強く言われて、仕方なさそうに私たちを乗せてくれた。
ルゥイの家に行くと、ラナが嬉しそうに出迎えてくれた。
しかし一人増えたのを知ると、困ったように言った。
「うちでは部屋が足りないから、ガルドさんの所にも泊めてもらえるように頼んでみないと」
「じゃあ、リゼだけここに泊めてもらえるかな」
「ええ。リゼだけなら大丈夫よ」
ラナの笑顔に、私は泣きたくなるのを堪えて「またよろしくお願いします」と言った。
ガルドさんの所には、ラナのお母さんが殿下とグレイス様を連れて行ってくれることになって、私はキュアーと共に家に残った。
「また元気が無くなっちゃったわね」
そう言って、ラナは部屋で休むように勧めてくれた。
私は一人になると布団に潜って、キュアーを抱き締めて泣いたのだった。