何の用?
セイジさんは、彼等は自分の知人だと言って、二人の男を連れて帰った。
その姿を眺めていると、母が「家に戻りましょう」と言って、私と姉を押して家へと戻った。
「キューちゃん、連れてかれちゃうの?」
姉が心配そうに言った。
「小さいうちは、家で育てていいはずだよ」
私が言うと、姉も「そうだよね」と言って、少し元気が戻った。
キュアーはもう、家族の一員になっている。誰も手放したがっていない。
しばらくして、セイジさんたちが家にやって来た。
やっぱり二人の男は、キュアーのことで王都から来たのだった。
「もう引き取りに来たんですか?」
母が訊くと、セイジさんが首を振った。
「いや、まだ引き取るわけじゃない」
その言葉にホッとした。
しかし、それなら何の用だろう。
「まずは竜の子を確認したいのだが」
グレイスと名乗った男が言った。なんだか怖い感じの人だ。
私は「連れて来ます」と言って、逃げるようにその場を離れた。
部屋に戻ると、キュアーが嬉しそうに「キュウ」と鳴いて飛んできた。
私の胸元に着地して、甘えるように頭をこすり付けてくる。
「キューちゃん、私と離れるの、嫌だよね?」
「キュ」
キュアーの身体を撫でながら、絶対手放さないぞと決意した。