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一人ぼっち?

「デュマ!」

 私が呼ぶと、デュマが気付いてこちらにやって来た。

「ねえ、デュマ、私たちを元の場所に帰して」

 私がそう言うと、デュマは首をかしげている。

(ああっ、もう!)

 私は気を静めて、デュマとの同調を開始した。


(デュマ、私たちを元の場所に帰して)

 私がそう言うと、デュマは不思議そうに、元の場所? と問い返してきた。

(デュマが私たちをここに連れて来たんでしょう?)

 そう言っても、デュマからは戸惑ったような感情しか伝わってこない。

(デュマ、とにかく私たちをお城に帰して)

 そう言ってみるが、デュマはお城というのがどこだか分からないようだ。


(もう! どうしたらいいの……)

 私は途方にくれてしまった。

 デュマにどう説明したらいいのか分からない。けれど、デュマが理解しなければ元の場所に帰してもらえないのだ。


(グレイス様……どうしたらいいんですか……)

 師匠を思い出して泣きたくなった。

 けれどここで泣いてしまったら、何かが崩れてしまうような気がした。

 とにかくデュマにちゃんと説明しなくては。

 そう思って、私は再びデュマに話し掛けた。




 結果として、デュマに元の場所について理解させることはできたのだが、帰れるかどうかは分からなかった。

 デュマは、同じ場所にまた戻れるか分からないと言うのだ。

 それを殿下に言って相談してみたけど、また別の時代に行ってしまったら大変だから、安易に試さないほうがいいと言われてしまった。


 だけど、帰れるかもしれないなら試してみてもいいじゃないかと私は思った。

 ……殿下はここに残りたいのではないだろうか。

 私はそう疑っていた。

 帰りたいのは私だけではないのか。

 そう思うと、自分が一人ぼっちのような気がして不安でたまらなかった。


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