竜に乗りたい?
ルゥイの家でお茶と軽い食事をご馳走になってから、ソンニと共に村へと帰ることになった。
ルゥイは竜が見たいと言って付いて来て、デュマを見ると「うわあ!」と、ソンニのように抱き付いていた。
ソンニはそれを呆れたように見ていた。
自分だって同じことしてたくせに、と思ったのは内緒だ。
ルゥイが竜に乗りたいと言ってきかないので、私たちはルゥイも乗せて少し周りを見て回ることにした。
空から見ると、前に見たことあるような景色だなと思った。
遠くにタッセオ山らしき山が見えて安心した。
(お城まではちょっと遠いけど、デュマに乗って行けばすぐに帰れる)
そう思うと、今の状況を楽しむ余裕ができた。
空からの景色を楽しんだルゥイを降ろして、私たちはソンニの村へと帰ることにした。
「絶対、また来てよ!」
ルゥイに言われてうなずきながら、城に帰ったらすぐには来られないだろうな、と思っていた。
ソンニの村に着くと、私はすぐに城に帰ろうと殿下に言った。
けれど殿下は「明日にしよう」と言って、ソンニに続いて歩いて行く。
私は仕方なく、デュマを昨日と同じ草むらに寝かせ、殿下の術式がまだ有効なのを確認してからソンニの家へと向かった。
ソンニの家にまた泊めてもらうことにして、次の日にはちゃんと帰ることを殿下と約束した。
私たちが明日村を発つと言うと、族長のお爺さんが「感謝の宴を開く」と言ったけど、そんな大袈裟なことはしなくていいと言って辞退した。
けれど、村全体でできないのなら我が家だけでも、とたくさんのご馳走を並べてくれた。
私はルゥイの家でご馳走になったことを後悔した。
すると殿下が「デュマと同調すれば、多めに食べられるはずだよ」と教えてくれたので、私はたくさんのご馳走を食べることができた。