足が折れてる?
まずは体力回復の術式を編み、それから治癒の術式を展開させた。
治療が終わると、私はルゥイに「動かしてみて」と言った。
「ちゃんと動くよ!」
そう言って、ルゥイは立ち上がった。
「痛い所はない?」
私が訊くと、ルゥイは「どこも痛くないよ」と笑顔で答えた。
それを見ていたラィムが「ありがとう」と言って、それから「その……悪かったな」と気まずそうに言った。
「治してくれてありがとう」
ルゥイからもお礼を言われた。
それから「あんた凄いんだな」と感心された。
ルゥイのお母さんとお姉さんからもお礼を言われて、私は照れ臭くなった。
「次はどこに行けばいいの?」
私が訊くと、ルゥイが「俺が案内するよ」と言ってくれたので、私は彼に続いて家を出た。
家の外まで見送ってくれたお母さんに「後でまた家に寄ってね」と言われて、私は曖昧にうなずいた。
この後の予定は殿下次第だ。ルゥイの家にまた来られるかどうかは分からない。
ルゥイの案内で、私たちは少し離れた家に着いた。
「ここのおじさんも、足が折れてるんだ」
そう言ってルゥイは扉を開けて、中へと入って行く。
「おじさん、いる?」
「ああ、ルゥイか」
家の中には大柄な男の人がいた。
「おまえ、怪我してたんじゃなかったのか?」
「この子が治してくれたんだ!」
ルゥイが私を振り向いて言うと、男の人は驚いた顔をして言った。
「その子が? どうやって?」
「竜使い様なんだって」
「竜使い様!?」
男の人が驚いて立ち上がりそうになって、慌ててルゥイが止めた。
「おじさんも治してもらいに来たんだから、大人しくしてなって」
「なんだよ、偉そうに」
男の人は楽しそうにガハハと笑った。
怪我してるのに、全然悲痛な感じはしなかった。