酷い怪我?
次の日。
私たちがデュマの所へ行くとまだ寝ていたので、起こしてから別の村に向かうことになった。
案内役は族長のお爺さんの孫で、ソンニという名前の少年だった。
ソンニはデュマを見ると目を輝かせて、「うわぁ」と言って駆け出した。
そしてデュマに抱き付いてから、ペタペタとあちこち触っている。
「すごい! 竜をこんなに近くで見られるなんて!」
ソンニは興奮してデュマに抱き付いている。
デュマも嫌がってはいないので、私たちはソンニの気が済むまでそのままにしておいた。
ソンニの興奮が収まると、私たちはデュマに乗って、怪我人のいる村に向かった。
「怪我は酷いの?」
私が訊くと、ソンニは「うん」とうなずいた。
「ディアンの怪我が特に酷いんだ」
「ほかの人は?」
「ほかにも酷い怪我のやつはいるけど、一番はディアンだ」
そう言って、心配そうに眉を寄せる。きっと大切な人なのだろう。
「あれかな?」
殿下が指差した先を見ると、集落が見えた。
「うん。あそこがディアンのいる村だよ」
あの辺に降りて、とソンニに言われて、私たちは村から少し離れた場所に降りた。
「あんまり近くに降りると、村のみんなを驚かせちゃうからね」
そう言って、ソンニはデュマから降りるとすぐに歩き出した。
早くディアンの所に行きたいのだろう。
私はデュマにここで待っているように言い聞かせてから、ソンニを追って村へと向かった。