食べるの?
私たちが集落の近くに降りると、「竜だ!」「助けてくれ!」という声が上がった。
「リゼ、私は結界を張るから、君は攻撃の準備を」
殿下にそう言われて、私はデュマとの同調を開始した。
「リゼ、デュマにダビルスティガーを追い払うように言ってくれ」
私が魔獣を追い払ってと言うと、デュマは、食べていい? と訊いてきた。私がいいよ、と答えると、デュマは嬉しそうに魔獣に向かって行った。
デュマに追いかけられて、ダビルスティガーは散り散りになって逃げていく。
集落に向かって来たものは結界に弾かれているが、結界の途切れた所から人間たちに向かって行くものもいる。
私は攻撃の術式を展開させて魔獣に向けて放つが、すばしっこくてなかなか当たらない。私が一匹をやっと仕留める間に、殿下は何匹も仕留めている。さすが魔術士だと感心した。
デュマが魔獣を食い散らかしている間に、私と殿下は集落の中に入って行った。
そして、攻撃は殿下に任せて、私は怪我人の治療を始めた。
「ありがとうございます」
「助かりました」
「あなたたちのおかげで、村が全滅しないで済みました」
私は村人にお礼を言われながら、怪我を治療して回った。
その間も、殿下はダビルスティガーに攻撃を続けているし、デュマは食い散らかしている。
そうして、生きているダビルスティガーが見当たらなくなった時、私も治療を終えて、やっと一息つくことができた。