走る‘一軒家’
「そいえばぁ…もう一人仲間がいるのよねぇ~……またアソコにいるのかしらねぇ~…。」
メメは顎をつまみながら身体をクネクネさせて辺りを見回した。
「あそこ…って…?」
「アーソーコーよッ!! ア•ソ•コッ!!」
ブワオが遠くを指差す遠くの方に、遠目からでも分かるくらいに大きな身体をした者がこちらに背を向け何やらコソコソとしていた。
「あ……。」
愛梨がその姿を目撃したと同時に、メメとブワオが大きく息を吸い込み、吐き出すように雄叫びをあげた。
「グガァァアアアアアアアッ!!」
「グギヤァァアアアアアアッ!!」
二人の雄叫びは愛梨達の鼓膜を震わせ、周囲に生える木々をバタバタと踊らせながら遠くにいる仲間のオーガのもとへ向かった。
「グヒッ…!?」
遠くの方で、オーガが身体をビクッと震わせ、耳をふさいでいた愛梨達の足元にヴェルオスが落ちてきた。今までヴェルオスは愛梨達の頭上で浮遊していたらしい。
ボテンッ!
「うッ……!!」
ヴェルオスは目を回し身体をヒクつかせて手足をプルプルと震わせた。
「ヴェルオス…ッ!?」
愛梨がヴェルオスに目をやった瞬間、地震のような揺れが辺りを揺るがせた。
ドシンッ!! ぐらぐら…
ドシンッ!! ぐらぐらぐら…。
「あの子ったらね…生まれたときからあんな図体なのよ…ッ!!」
「メメッ!! あんたがあの子の図体あーだのこーだの言えた立場なワケ…ッ!?」
「だ、だってぇぇ……あの子…私達の…」
ドシンッ!! ぐらぐらぐら…ッ!!
「あ、あの子ったら…あんな…はしたない走り方しちゃって…ッ!!」
「うおおお……揺れる揺れる……ッ!!」
ドシンッ!! ぐらぐら…ッ!!
ドシンッ!! ぐらぐらぐら…ッ!!
メメとブワオはお互いを掴まり立ちしあうと身体をクネクネ、足元ぐらぐら。
「もぉーッ!! 静かに走れないのかしらねッ!!」
「ホントよね~ッ!! 野蛮丸出しじゃないッ!!」
こんな状況の中、愛梨はただただ、鬼顔の巨体二人のクネクネを見ながら、遠くから走り向かってくるオーガを待ち構えた。
ピコは愛梨の腕の中で、静かに目を瞑り、「ピギュ…ピギュ…」と呟き、 ヴェルオスは揺れ動く地面の上で目を回し、身体を震わせていた。
ドシンッ!! ぐらぐらぐら…ッ!!
揺れが止んだ…。
「おーまーたッ!!」
そこには、メメやブワオより少しばかり大きい…およそ五メートルくらいだろうか…一軒家並みの大きさはあるオーガが内股でキャピキャピしていた。
「は…はじめまして………ッ。」
愛梨がその巨体に向かい話しかけると、先ほどまで内股でキャピキャピとしていたオーガの態度が一変した。
「ああんッ!? これはこれは、天下のプレイヤー様じゃねーか…ッ!!」
ヘニャヘニャとしていた鬼顔がガチガチの鬼顔に一変し、愛梨を睨みつけ、内股を解除し、腰帯に差し込んでいた巨大斧を抜き上げた。
「ダーメーよッ!! 愛梨は私達の『仲間』よッ!! 『な•か•ま』ッ!!」
その巨大は、斧を振りかざしながらメメとブワオの顔を見た後、首を傾げながら愛梨の眼前に顔を近づけた。
「ひあ…ッ!!」
愛梨は両肩を吊り上げた。
「お前がオレ達の……『仲間』だと……ッ!?」




