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〈ルピシアル〉

「フゴォッ!!」


「うわッ!! なんだッ!?」


バシュッ!!


「ぐわぁ…ッ!!」



木陰から突如現れたニコラスに先手を打たれ若い男達の中の一人がニコラスに斬りつけられた。


「ブフゥッ…!! ブフゥッ…!!」


ニコラスは奮起し自我を失っている。


「やべぇ…ッ!! コイツ…〈アクティブモンスター〉だッ!! しかも、オレらよりレベルが高い『イノタロス』だ…ッ!!」


「ぐぅ…ッ!! 一撃もらっただけでHPがカスカスだ…ッ!!」



ニコラスから一撃をもらった若い男は地に倒れ込んでいたが、何か回復道具を使ったらしくすぐに立ち上がった。が、奮起するニコラスに腰を引かせ、若い男達はジリジリと後ずさり始めた。



「オレら三人じゃ無理だ…ッ!! 逃げるぞッ!!」


若い男達はニコラスには勝てないと判断すると、一目散に逃げていった。



「ブフゥッ…!! ブフゥッ…!!」


「ニコラス…ッ!!」



ピコを抱いた愛梨がニコラスの近くへと駆け寄った。


「ニコラス…ッ!! 大丈夫…ッ!?」


ニコラスは振り返り、愛梨とピコを見ると安心したのか、険しく強張った顔を緩ませニコリと笑った。


「アイリ……ピコ……。」


ニコラスの笑顔に愛梨とピコも安心し、緊張し強張った顔を緩ませ笑顔になった。


「ニコラス…さっきの人達は一体何だったの…?」


「……。」



ニコラスは答えようがなく黙り込んだ。


「…さっきの人達…私の同じ…日本人みたいだったけど……なんであんなひどい事をしてたのかな……それに…何か色々言ってた……てゆうか、あのダチョウみたいな生き物達は何であんな消え方したの!? 消えた後、あの人達は地面に落ちていた何かを拾い集めてた……一体何だったの……?」



「……。」



顔をしかめ悩み考える愛梨の腕をニコラスは掴み取り、更に木々をくぐり抜けるように突き進み始めた。


「ちょっと…!! ニコラス…!!」


「……。」



ピコは愛梨の腕から飛び降りると、愛梨の後ろから走りついてくる。


ニコラスは沈黙したまま愛梨の腕を引き、森を突き進んだ。すると、ついに森を抜けた。


「……ッ!! ……ッ!?」


森を抜け、目の当たりにする景色は自分が住む日本とはかけ離れた場所である事を認識した愛梨は言葉を失い、戸惑いを隠せなかった。


「……。」


ニコラスは、掴んでいた愛梨の腕を手から離すと、ピコを抱き上げ森の中へと戻っていった。


「ニコラス…ッ!! 待って……行かないで!!」


愛梨の声にニコラスは足を止め振り返ると、

「アイリ…カゾク…アリガト…。」


「ニコラス……ッ。」


ニコラスは愛梨に笑顔を見せ、森の中へと姿をくらました。



「……ニコラスは…人じゃないの……? ニコラスは…あの向こう側に見える街には帰らないの……?」


愛梨は一人取り残されると、辺り一面緑の草原にへたりと座り込み、泣き始めてしまった。


「えーーーん…えーーーん…。」


座り込み一人泣いている愛梨に近付いてきた何者かが声をかけてきた。



「だ…だいじょぶ…? なんか……変わった装備してるね……『イノタロスの服』かな…?」


「ひっく……ひっく……ぐすん…。」



「あ…ッ! 僕は、『波瑠…ハル…』」


「…私は…愛梨…。」


「愛梨さんは…初心者プレイヤー…?」


「ぐすん……。初心者プレイヤー…?」


「僕も初心者なんだ! 愛梨さん…武器は? あ! 『魔法使い』さん…?」


「……わかんないよ…。てゆうか、ここは何なんですか……。」


「え……?」



「家に帰りたいよ……パパ…ママ…。」



「……?? 愛梨さん…帰れないの知らないで、この〈ルピシアル〉に来ちゃったの…??」



「え……? 帰れない……の?」









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