一文字物語 雨 作者: 長野晃輝 掲載日:2011/06/17 ある地域の空の上、どんよりとした灰色の雲の中、一粒の雨粒がいた。 彼、あるいは彼女はとても寂しがりで、まわりのいろんな雨粒と触れ合おうとした。 だけど彼らは触れ合えばまたすぐに一粒の雨粒戻ってしまう。 どんなに触れ合っても雨粒は寂しいままだった。 やがて大きくなりすぎた雨粒は、重力に引かれ、雲の下へ落ちていった。 彼、あるいは彼女は地上でひとりの人間に触れた。 その雨粒は最期にようやく温もりを覚えたのだった。