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ファンタジー書いていると、たまに学園書きたくなる……

という、作者の欲求を満たすために生まれた小説です。

ネーミングセンスが無いのは、見逃してください。

気が向いたときにしか書かないので、更新ペースは遅めになります。


異世界日記はハイペース更新だから二日に一回見てみると、更新してるかもです。

こっちは、一週間~二週間に一回ぐらいのペースになります。

 「ヴォルフ」

教室に、教師の声が響き渡る。

しかし、その教師に対する返事は何も無かった。


 「ヴォルフ、ヴォルフ・ヴァン・セイリエス!」

さっきよりも、教師の声が大きくなり、その声には少しだけ怒気が含まれていた。しかし、それでもその教師の声に反応は無い。


すると、教師は呼ぶのを諦めたのか黒板の前からカツカツと生徒の机が並んでいる方へと歩いていき、一番後ろの列で、机に突っ伏している少年の前で止まる。


一度、大きく息を吸い込む。


 「ヴォルフ・ヴァン・セイリエス!! 聞こえているのか!?」

そして、それにやっとヴォルフは気づいたのか、素早く姿勢を正す。


 「はい! 起きています! 僕は真面目な優等生です!!」

と、ヴォルフは自分で自分を優等生と言い張る、極めて痛い発言をしてしまった事に気づく。

しまったと、思った時にはもう遅かった。


 「ほぉ、優等生とは授業中に居眠りをして、学園を無断で休み、テストで毎回、一桁をとる者を言うのだな?」

 「はい、そうです!」

 「んな訳あるかぁっ! お前は何の為に、学校来ているんだ!」

教師の平手打ちがヴォルフの頭を襲う。


 「痛っ!?」

そして、クラスの皆に笑いものにされて、でもそれで、今まで、何となく硬い雰囲気だった教室が和むなら、別にこれでいいとも思っていた。



                       ●


ここの学園での生活は悪くない。

むしろ、快適だった。前に居た場所のように、戦闘を強要されるわけでもなく、ただ、過ごせばいい。それは、ヴォルフにとっては正に、夢と言っても良い環境だった。


本当の自分は、隠して。自分に、周りに居る人に嘘をついて。

そんな、造られた偽りの生活も慣れてしまえば悪くは無かった。


 「ヴォルフ、お前、もうちょっとやる気出したらぁ?」

椅子に座ってぼんやりとしているヴォルフに、声を掛けてくる少年がいた。


 「あ、ミストレか。いやぁ、僕はいつも真面目だよ?」

 「嘘付け。俺はお前がやる気を出したところをお前が来てから、見た事が無い」

と、あっさり否定されてしまう。


ヴォルフは今年の4月に転校生として、このシュベルツ学園に来た。

元の学校は明かされず、只、名前と転入先のクラスだけを告げて、突然やってきた。

シュベルツ学園は、一般科、武力科、化学科、錬金化に分かれており、ヴォルフはその中でも、一番平凡な一般科に入っている。

主に、武力科は対人戦を、化学科は魔法の応用、開発、道具の開発、応用を、錬金科はその名の通り武器の錬金及び調整を担当している。

そして、ヴォルフが通っている一般科とは、どの科目もバランス良くやるものだった。

最も、生徒数が多い科である。



常に、寝癖の付いている長めの髪、茶色の眼鏡をかけた、いかにも、優等生というのが、転校当初のクラスメートの印象だったが、実際は、只の馬鹿。

というか、無気力。

というのが、一カ月でクラスメートに執着した。


 「まぁまぁ、いいじゃん? それよりも、次って武力の授業でしょ? 僕はちょっと眠……いや、頭が痛いから休むって伝えておいてくれない?」

と、ミストレにヴォルフが声を掛ける。


 「お前、絶対今、眠いっていいそうになっただろ?」

 「あ、バレた?」

 「バレバレ。てことで、行くぞ」

そういうと、ミストレは気だるそうにしているヴォルフを無理矢理、お越し次の武力の授業が行われる、武道館へと連れて行った。


 「ちょっ!? ミストレぇ~、マジ勘弁してくれー」

と、ヴォルフが情けない声で縋る。


 「勘弁とかじゃなくてだなぁ、お前ただでさえ、サボりで出席日数危ないんだぞ? その上、授業にも出ないって為ったら、進級できないかもしれないんだぜ? いや、お前の場合は最悪の場合は、退学かもしれないけど」


 「え、それは困る~」

 「だったら行くぞ」

 「それも困る~」

しかし、ヴォルフの言い訳には耳を貸さずに、ミストレはどんどんと廊下を進んでいき、武道館へと向かう。

この学園では、科目ごとに、場所が変わっていて、武力の授業の際は、武道館まで移動する必要があった。


 「あ~ぁ、もう授業始まっちゃってるよ。ほら、ヴォルフお前も一緒に先生のところに謝りに行くぞ」

 「う~、めんどいー」


教師に、おくれた理由を説明すると、何故かミストレにはちょっとした注意だけで、授業に戻っていったのだが、ヴォルフはネチネチと教師の説教を聞いていた。


 「大体、お前はだな――少しは真面目に――聞いているのかヴォルフ!?」

教師の説教に飽きたのか、なんと立ったまま、寝るという人間業とは思えない、偉業を成しているヴォルフに教師は怒鳴り散らす。


 「はい、聞いています! 僕は優等生です!」

いきなり、目を覚ましたヴォルフがそう言い放つと、教師は呆れたという様な顔になり、小さく溜息をつくと、

 「もういい。授業に戻れ。適当にそこ等へんで組み手をやっていろ」

と投げやりに言い捨てた。そして、やる気のありそうな生徒を見つけ出し、そこでアドバイスを始めるのだった。


 「そこ等へんで、組み手をやれって言われてもなぁ……」

既に、授業は始まっているので、ほとんどの生徒はもう組み手の相手を見つけて練習をしていた。一緒にきたミストレもいつの間にか、相手を見つけて練習している。


現在、武道館にいるのはヴォルフ達が所属する、一般科と、一日の授業のほぼ全てを武力の授業に費やしている武力科がいる。

流石に、武力科は一日中、模擬剣を握っているおかげで、一般科の生徒と比べると見違えるほどに動きが違っていた。

剣を振る速度一つをとっても、全く比べ物にならない。


というよりも、そもそも武力科の生徒と一般科の生徒では身体の作りが違う。

武力科の生徒は全員、生まれながらに、派流脈という特殊な脈を持っている。そして、その派流脈を使って、身体能力に様々な変化を齎したり、自分の武器に派流脈を流し込んで武器に力を与える事も出来る。ただ、渓流脈を同じ量与えても、技術によっては力に差が出る事もある。


と、そういうことで一般科と武力科が一緒にの大会や競技に出るなんて事は滅多に無い。というか、無理なのである。


そして、一般科は悪く言えば、何の取り柄も無い生徒の集まりだった。

なので、組み手といっても武力科のような鬼気迫るものではなく、適当にチャンバラごっこのように剣を振り回しているだけだった。


さて、どうしようかな。

生徒は皆、ヴォルフとやってくれそうではない。


 「ねぇ、君」

突然、後ろから声を掛けられる。

振り向いた先には、ヴォイスよりも十cmほど身長が高い、釣り目がちの目をした、細身の男が立っていた。細身といっても、服の上からでも分かるほどに、筋肉が付いている。

赤の生地に、黒で、この学園の紋章が刻み込まれている制服。武力科の生徒にのみ支給される、特殊な制服だった。

更に、制服の襟に付いているバッヂにはこの学園の、四年生である事を表す、緑色が色をつけていた。

一年から六年までがあるこの学園では、中堅的な立場に当たる。


しかし、四年生が二年生であるヴォルフに何の用があるのだろうか?


 「何ですか?」

 「いや、大した事じゃないんだ。君、暇なら僕の相手をしてくれない? 相手がいなくて、困ってたんだ。もちろん、模擬剣でいいよ」


その言葉でようやく、この男の意図を理解した。相手がいない、なんていうのは真っ赤な嘘。ちょっと探せば手の空いている武力科は他にも居た。

つまり、馬鹿にしにきたのだ。

少し、にやついている顔がそれを確証へと導く。


本当は、相手の意図が分かっていたら、そんな事を引き受ける意味は無い。

しかし、この学園では上下関係が激しく、ましてや二学年も離れているヴォルフが、四年生に逆らえるはずも無かった。

それに、人よりも強いという自負を持っているせいなのか、この学園、いやどの学園でも武力科の生徒は同学年の生徒に対してでも少し強めに出る事が多い。

自分の力を過信していると言っても良かった。


 「いえ、僕は暇ではないんで、誰か他の人とやっていただけますか?」

ヴォルフは出来るだけ、丁寧な言葉遣いで誘いを断った。

しかし、四年生は、絶対に断られないという自信があったようなのか、少し言葉に怒気が篭ってくる。


 「は? 君、二年生でしょ? 上級生には絶対服従だよね?」

と、権力を盾にしてヴォルフに脅しを掛ける。


(絶対服従とか、そんなのは決まってないと思うんだけどなぁ~)


 「いえ、ですが、僕じゃ相手にならないですよ? もっと、他に……」

 「いいから、やれよ」

ヴォルフの言葉を遮って今度は、強制なのか命令口調になった。

その声を聞きつけたのか、一般科の生徒と、武力科の生徒の注目も次第に、ヴォルフと四年生に集まってきていた。


 「おぃおぃ、ランクの奴、俺たちとじゃ勝てないからって、一般科の下級生に勝負挑んでるぜ?」

誰かの、そんな言葉で武力科の生徒が、何人かが噴出す。


どうやら、このランクという生徒は、武力科の生徒の中では落ちこぼれのようだった。

注目を浴び始めて、ランクも次第に焦り始める。


 「おぃっ! 早……」

 「いいですよ。やりましょう」

突然、ヴォルフがランクの言葉を遮る。

そして、そのヴォルフの言葉に、全員が唖然とする。


そして、練習中のミストレもヴォルフに声を掛ける。

 「おい、ヴォルフ! お前じゃ、ボコボコにされるのがオチだよ! 今のうちに止めておけ」

 「大丈夫だよ。適当に受け流すから」

 「はっ? 受け流すってお前……」

 「まぁまぁ、いいから」


 「いいのなら、やるぞ?」

そう言ってランクは模擬剣を片手に持つ。

それに合わせるようにして、ヴォルフも杖代わりに使っていた模擬剣をもう一度構えなおして、改めて向き直す。


 「準備は出来ました。どうぞ」

と、ヴォルフはランクに先手を薦める。

すると、その挑発に乗ってしまったのか、ランクは、


 「あぁ!? 俺をなめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」








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