表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

【tale:語られない共鳴】


サイト-81██、深夜の第4資料室前。

一ノ瀬博士は、ふと足を止めた。そこは今や、備品置き場として使われている、なんの変哲もない空き部屋だ。

「……一ノ瀬先生? どうしたんですか、こんなところで」

後ろから、あくびをしながら九条がやってくる。

「……いや。……九条。ここには、以前誰がいた?」

「さぁ? 記録ログには何も残ってませんよ。ずっと空き部屋だったみたいですけど」

九条はいつものようにぼんやりと答える。だが、一ノ瀬は計算の合わない「違和感」を感じていた。自分の演算回路が、この場所で「かつて、凄まじい密度の執着が爆発した痕跡」を、ノイズとして拾ってしまうのだ。

「……私の計算が正しければ、ここには『何か』があった。……いや、誰かが、命を懸けて何かを隠し通した跡だ」

一ノ瀬が、誰もいない暗闇の部屋を見つめる。

その時、九条がふっと目を細め、一ノ瀬の肩を抱き寄せた。

「……まぁ、いいじゃないですか。誰かが必死に消したものを、わざわざ暴くのは野暮ですよ。……それより先生、コーヒー淹れました。砂糖、たっぷり入れたやつ」

「……九条。お前、何か知っているのか」

「さぁて。……ただ、もし僕がその『誰か』だったら。……世界から消えてでも、先生を連れて逃げるだろうな、とは思いますけどね」

九条の言葉に、一ノ瀬は心臓が跳ねるのを感じた。

記録にはない。名前も知らない。

けれど、かつてこの場所で、自分たちと同じように、あるいは自分たち以上に「狂った愛」を貫き、世界からログアウトした「先達」がいたことを、二人は本能で理解しているのだ。

かいせつー!えーあいさん!!



繋がる物語

一ノ瀬博士: 「計算の狂い」として、消された二人の存在を論理的に予感している。

九条さん: 「執着の同類」として、二人が選んだ結末を肯定し、自分もそうする準備ができている。

田中研究員が消し去ったはずの二人の物語は、こうして「今の二人」の覚悟の中に、密かに受け継がれている

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ