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私は明日死ぬかもしれない

作者: 時雨奈阿良
掲載日:2025/10/20

 少しばかり独り言を呟こうと思う。

 本当はちゃんと聞いてほしいけど、私の話は長々としていて退屈だと思うから、聞き流す程度でいい……。とにかく君に話を聞いてほしい。


 ──まずは自己紹介から始めようか。

 私の名前は佐藤萊世(さとうらいよ)。某首都在住の18歳。ごく普通の家庭で生まれ育った、"基本的には"ごく普通の人間だ。

 わざわざ基本的にと表現したのには理由がある。それは、私には普通の人にはないある特殊な力を持っているからだ。


 ……え、拗らせすぎ?

 いや、さすがにあんな前置きをしておいてふざけたりはしないよ。真面目も真面目、大真面目さ……。

 話を戻そう。私には生まれつきある力が備わっていた。その力を一言で表すなら、『予知能力』と言ったところかな。


 具体的には、一週間先までの未来を見通すことができる。

 明日明後日の天気とか、どんな出来事が起こるとか。ありとあらゆるこれから待ち受ける事象を、すべて正確に予知することができた。

 人生で一度たりともこの予知が外れたことはない。雨が降るってなったら絶対に降るし、抜き打ちの小テストがあるってなったら絶対にある。


 とまあ、こんな能力を持っていたので、私は昔から自身に迫りくる危機を器用に回避しながら生きてきた。

 天気予報が外れていきなり雨が降ってきても、一人だけ傘を差して優雅に歩きながら帰った。

 抜き打ちテストなんて、事前にくることが分かっているので、事前にテスト勉強をして当日に備えることができた。

 その他にも、運転の操作を誤った暴走トラックが自分のほうに突っ込んでくる未来が見えたら、歩く道を変えることで難を逃れた。


 このように未来を見通すことで、私は自分に都合のいいように時々未来を変えつつ、今日まで平和に過ごしてきた。

 ……今日まではね。




 話したいのはここから。本題に入る前に飽きているかもしれないけど、もし良かったらこのまま最後まで聞いてほしい。


 実は一週間前から、ある不可解なことに見舞われているんだよね。

 今説明した通り、私は一週間先までの未来を見ることができるんだけど、なぜか一週間前から六日後から先の未来が見えなくなった。


 初めは何事かと思ったよ。体の不調なのかなとか、もしかしたら能力が突然失われたのかなとか、色々なことを疑った。

 でも、六日後までは正確に予測できているわけだし、体の不調や能力そのものが原因だとはとても考えられない。

 どれだけ色々な線を探っても分からずじまいだったので、とりあえずその日は寝た。


 すると次の日。

 今度は五日後から先の未来が見えなくなった。

 私はようやく、一日ずつ未来が見えなくなっているということを理解した。

 こうなると、考えられる状況はもはや一つしかない。それは死だ。


 隕石が降ってきたとか、緊急性の高い急病を患ったとか、そういう個人では対処のしようがないものなら、可能性は考えられる。

 交通事故に巻き込まれる未来が見えても、行き先を変えたりすることで未来を変えられる私だけど、これに関しては本当にどうしようもない。


 でも一つ気がかりなのは、そういったものでも前触れくらいは知ることができるはずだということ。

 隕石なら降ってくる前に速報でニュースが流れる瞬間くらいは予知できるだろうし、急病なら患う瞬間とか前触れくらいは予知できる。

 なのに、今回は前触れどころかその日一日中がまったく分からない状態だった。


 もしかしたら交通事故の例のように、何か違ったことをすれば未知を回避できるかもしれない。

 そう思って私は何かしら行動を起こしまくったり、逆に何もしない日を作ってみたり。ありとあらゆる手段を尽くした。尽くしたつもりだった。

 でもどんなことをしてもしなくても、状況は何も変わらなかった。

 カウントダウンは止まらず、刻々と未知が迫るばかりで、私は不安になるしかなかった。


 そして明日。ついにその日は訪れる。

 私は眠気に見舞われながらも、一睡もせずに一人で心細くなりながら時間を過ごしている。

 最後の日かもしれないのに、寝るなんてもったいないしね。明日は一体どうなってしまうのだろうか……。


 ……。…………。………………。


 ん? ……ああ、ごめんね。話はこれで以上だよ。

 オチがなくてつまらないって思ったかもしれないね。でも仕方ないよ。語り手は私なのだから。

 結果なんて分かるはずもない。そもそも分かったときには死んでいるかもしれないし。

 聞き流す程度でいいって言ったのはそういうことだよ。本当は親身になって私に寄り添ってほしいけど、それは私のわがままでしかないわけだし。

 だからこれは、私の独り言……。私が一方的に君に話したかっただけ……。


 最後まで話を聞いてくれてありがとう。

 ちょっとくらいは気が紛れたよ。いや、だいぶかな……。

 話を誰かに聞いてもらえたことが。君に話を聞いてもらえたことが、私は嬉しい。

 本当に、本当にありがとう……。


 じゃあね。ばいばい。

ここまで、読んでくださりありがとうございました。

最近はまったく投稿を行っておりませんが、裏では着々と文字数を積み上げているので執筆は続けています。生きているのでご安心ください。

他にも色々作品を書いているので、興味があればぜひそちらも読んでくださると嬉しいです……。


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