24『10年前の御三家』
1000年以上前から日本を支えてきた…源家、平家、藤原家の現当主3人が長崎・出島の洋館に一同に会し…異邦の地バビロニアから訪れた問題と対峙していた…
話し合いは膠着し、時間だけが一時間が経過していた…
「やはり…我が一門の出身である【鉄乃助】の子女に当たる【源南花】は、我々が預かるのが道理ではあるな…」
少しの沈黙の後…顎髭を生やす初老の男である【源獅士】が切り出す。
「獅士、貴様、道理などと抜かしながら【源南花】が有する銃に関する知識と技術を独占するつもりか!」
円卓を時計に見立てた場合…3時の位置に座る丸坊主の男【平清影】が、正面に座る獅士に対して苦言を述べる。
「まぁまぁ…清影殿、落ち着いて会話しませんか…」
話し合いの加速を抑制した眼鏡姿の【藤原家道】は、円卓の6時の位置に座る。
「そうですよ、皆様…これ以上に時間を浪費したくないでしょうし…私、ヤタノが今回の結論について提案をさせて頂きますから。」
円卓の0時の位置に座る年齢不詳の女性【ヤタノ】が、鶴の一声を上げる。
「まぁ、獅士様のおっしゃる通り…南花さんに関しては、源家が受け入れるのが妥当でしょうね…そして…」
ヤタノは、清影の方を見て続ける。
「ウィスキーの蒸留技術…利益を生み出す、正に錬金術に関する知識を有する【アリサ・クロウ】は、平家へ嫁いでもらい…」
ヤタノは、最後に家道の方を見る。
「航空技術と遺伝子技術に関する知識を有する、バビロニアの科学者である【冬野ユキノ】は藤原家へ嫁いで貰う形で手打ちとさせて頂きますね。」
結論を述べたヤタノは、アイスコーヒーを一口飲む。
「ふん…それ以外の来訪者達の処遇はどうするつもりだ?」
清影が残る疑問について、追及する。
「そうですね…【春川】さん、【御夏】さん、【秋山】さんのお三方は、藤原家の管轄へ…そして、【ヨハンナ】さんと【ハンムラビ】さんは、【松尾家】の監視下で長崎に住んで貰いましょうか…」
暫く考える素振りを見せたヤタノが更に告げる。
「おい、松尾家ということは、即ち!」
清影がヤタノの言葉に対して噛みつくが…
「オホン、今の日本にとって未知の技術を有する彼女達を、バランスよく分散し…御三家の均衡を保つ為の采配として受け入れて下さいね…清影様、獅士様と家道様もご理解して頂ける事を願います。」
ヤタノの口はあくまでも協力する様に告げているが、その瞳は強制であることを示している。
御三家の現在の当主達は、一人の女性の言葉に対して、承諾の意思を告げる。




