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【第十三話】 おまけ③ それぞれの事情 クリストフ

終りの街で再会する前のお話。

 クリストフはまっすぐな男だった。純粋な性格で、汚れを知らぬかのような。


 彼が貴族でありながら冒険者などというあらっぽい仕事に就いたのも、その高潔な責任感から。領地を統括する者として現状を知るためであった。また、職にあぶれがちな次男三男の新たな職業を探す意味もあった。


 自由に金を使える地位にありながらも滅私奉公。そんな彼にとって、アギトは未知の生態であった。歪んでいて、利己的で、他者を搾取する。


 近づいたのは、最初は警戒心から。領地にいていい人間ではないと考えてのこと。


 次に抱いたのは、哀れみ。どんな境遇にあればこんなに魂がすさむのか。クリストフには理解できなかった。


 そして最終的には、好奇心。この頃には警戒心もほつれ、残ったのは自分とは異なる存在への興味。アギトに絆されたともいえる。


 いつの間にか、誰にも見せなかった大切な首飾りまで見せるほどに心を許していた。それは病弱な幼馴染が死の間際に無理を押して自ら遠方のクリストフに届けに来てくれたものである。その首飾りは彼の命を守ってくれる守りの魔法が込められていた。


 自分では成し遂げられなかったこと。常識の輪からこいつ(アギト)なら飛び出してくれるだろうという期待とともに、一時いちじは共同でチームのリーダーになろうと考えた。


 誘ったが、一笑に付された。


「お前がその首輪に縛り付けられているうちはどこにも行けないよ。僕を道連れにしないでくれ」


 そんな暴言を吐いて。





 アギトと仲違いをしている間にチームはアギトに乗っ取られ、仲間のギルドカードは売り払われた。ギルドの保証金の借り入れをされ、首輪もいつの間にか売られていた。


 首輪から解き放たれたクリストフは言う。


「どこまでも追いかけてやるよ、アギト」

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