【第一話】 山奥にて わんこ、拾いました。
俺はクズだ。
自他ともに認めるクズだ。
なのに、何故だ? この聖獣は俺に完全に懐いている。
もう一度言おう。俺はクズだ。好き勝手に生きてきた。
名のつく犯罪はだいたいやったし、新たな犯罪も考案し、実行した。
まあ、世界の方も大概だ。俺がこうなったのも仕方がないだろう。だから自分の持てる能力を使って他人を搾取して生きていた。奪われる前に奪っていただけ。
幸い俺は魔力が強かったので、生きるのに困ることはなかった。
そんなある日、たまたま山の中で出会った聖獣。そいつは大型の犬のような姿をしていた。
鼻筋が通っていて、気品がある面立。銀色のふさふさとした毛並みが美しく、三角の耳は細長くピンと立っている。美人な犬だがキラキラした瞳はどこか愛嬌を感じさせた。
しかし溢れ出る、魔力とはまた違う力。そしてわんこの周りに常にある木漏れ日のような光はまさしく伝説の聖獣のそれであろう。
もちろん、飼うつもりなんてなかった。そもそも飼うものでもない。だが、勝手についてくる。
邪険にしても、無視しても、『それなんの遊び? もっとやって!』という瞳で見てくる。
人間同様に脅してみたりもしたけれど、澄んだ瞳で見返してくるんだ。
何をやっても、『次何するの? 御主人様』という顔。
そんな瞳で見つめられると、今まで感じたことのない気持ちを感じた。
初めての感情に、戸惑った。




