ちがう猫だとしても
似てる猫もそれぞれの可愛さ。
あの日 見た猫をまた見かけた
ねえ こんな偶然ってある?
もう 二度と出逢えないし
この腕に擁くこともないんだって
あきらめて ううん あきらめたふりして
枕を濡らしてたのに
あの日 見た猫をまた見かけた
ねえ こんな偶然 信じられる?
あの日と おなじ模様
あの日とおなじ しっぽの振りかたをして
あの町の アスファルトのうえとおなじように
にくきゅう ふにふに歩きしてたんだ
追いかけよう
もう 二度と出逢えないし
この腕に擁くこともないんだって
あきらめるのは ううん あきらめたふりするのは
今度こそ したくない
これからは 枕を濡らすこともなく
お風呂のあと せっかく乾かした髪を
また びしょびしょにすることもなく
ひょっとしたら あの猫を
ふとんごしに おなかにのっけながら
ぐっすり眠れる そんな日々がくるかもしれない
そんなふうに 想い描きながら
追いかけよう
あの日と ちがうこの町で
あの日 見た猫をまた見かけた
ねえ こんな偶然ってある?
ねえ こんな偶然 信じられる?
あたしは こんな偶然に ありがとうございますして
ぜったい 見失わないように
猫を追いかけてたんだけど
とうとう きづいてしまった
あの日と にてるけど ちがう模様
あの日と にてるけど ちがうしっぽの振りかたをして
あの町じゃない この街のアスファルトのうえを
にくきゅう ぷにぷに歩きしてるこの猫は
あの日 見た猫とは にてるけど ちがう猫
そりゃそうよね
あの日から もうどれだけ
枕を濡らす夜をすごしたんだか
あの町と この街は もうどれだけ
かなたに はなれてるんだか
あの日 見た猫をまた見かけたってかんちがいで
胸を うきうき どきどき そわそわ ぞわぞわ
そんでもって ぐるぐるさせてた
あたしには なかなか そんなこともきづけなかった
だけど とうとう きづいてしまった
あの日 見た猫には
もう 二度と出逢えないし
この腕に擁くこともないんだって
あの猫のことを思い出したら
これからも 枕を濡らすことになるだろうって
でもさ それでもさ
あの日 見た猫とは ちがう猫だとしても
この猫に出逢えた偶然に ありがとうございますして
今度こそ ぜったい 見失わないように
この猫を追いかけることができたなら
ひょっとしたら この猫を
ふとんごしに おなかにのっけながら
ぐっすり眠れる そんな日々がくるかもしれない
そうでしょ? そうかもしれないでしょ???
でもさ それでもさ
この猫を ふとんごしに おなかにのっけながらも
あの猫のことを思い出したら
たまには 枕を濡らすこともあるかもね
そんなとき
おなかにのっけた この猫は
不思議そうな顔をして にゃあって泣いたら
あたしの涙を ざらざらな舌で
ぺろりとしてくれるかもしれない
ありがとうね 猫
この猫だけじゃなくて
あの日 見た猫にも ありがとうだよ
一度 見失った猫には
二度と 出逢えないかもしれないし
その面影を追いかけつづけるなんて
馬鹿みたいか 未練がましいかもしれない
この猫と あの日 見た猫は にてるけどちがう猫
おなじ猫って かんちがいしたのも
失礼しちゃうわって おはなしかもしれない
でもさ だけどさ
あの日 見た猫を見失った
その悔しさや悲しさがあったから
この猫をあきらめずに
追いかけることができたんだって
だとしたら そうだとしたら
やっぱり あの日 見た猫にも ありがとうだよ
あの日 あの猫を見たからこそ
この猫のこと あたしは見失ってなるもんかって
追いかけることができたんだから
この猫を ふとんごしに おなかにのっけながら
胸のかたすみで あの日 見た猫のことも
だいじに想って眠ったって
きっと ばちはあたらないはずだ
でも 安心して
ちゃんとわかってるから
この猫は あの日 見た猫とはちがう猫だって
みがわりなんかじゃなく ちゃんとあんたのことを
大好きだし 愛してるから
胸のかたすみで あの日 見た猫のことも
だいじに想って眠ったってゆるしてほしい
それは あたしのわがままな願い
そんな日々がきたらって想い描きながら
あたしは あの日 見た猫とは にてるけどちがう猫を
あの町とは ちがうこの街で 追いかける
もう二度と見失わないように
もうあきらめたふりなんてしないように
あたしは あの日 見た猫とは にてるけどちがう猫を
あの町とは ちがうこの街で 追いかけるんだ
あの日 見た猫とは にてるけどちがう猫だとしても
ちがう猫だとしても
いっしょに並んでたら、見分けつくかどうか?