表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/24

2 マイと出会ったときのこと

 マイこと『ただいま兄貴攻略中』氏と出会った経緯なんだけど、一か月くらい前、氏からDMを送ってきたことが始まりだった。当時俺は次のようなことをシャベっていた。



俺の妹は世界一@sekai1

 近親婚を禁止している民法734条が憲法24条に違反しているのは明白だ。民法改正はよ。


俺の妹は世界一@sekai1

 ウェスターマーク効果は所詮仮説。反証として歴史上有名なイモウトスキーは枚挙にいとまがない。



 今思えば煽りを呼び込む徴発系シャベルだったと反省してるが、尖ってたんだよ、あの頃の俺は。まぁ、身バレの心配がないので言いたい放題できてたってのもある。SNSの世界で空気な俺でも「民法改正はよ」の時は少し荒れた。

 『ただいま兄貴攻略中』と名乗る人物からDMを受け取ったのはそんな渦中にある時だった。



ただいま兄貴攻略中@lovememuchmore

『はじめまして。『世界一』さんは妹と結ばれたいと思ってる人ですよね? 私も兄貴と結ばれたいと思ってます。良かったらこれから仲良くしませんか?』



 俺が妹大好きな高一男子であること、マイが兄貴大好きな中三女子であること、奇しくも俺の妹が中三でマイの兄貴が高一であること。不思議な巡りあわせ、運命的なものを感じた。



俺の妹は世界一@sekai1

『『ただいま兄貴攻略中』氏、これからよろしくお願いします』


ただいま兄貴攻略中@lovememuchmore

『こちらこそよろしくお願いします! 私のことは妹なのでマイと呼んでください。ぜひ呼び捨てで』


俺の妹は世界一@sekai1

『俺のことは「お兄ちゃん」って呼んでほしいナ』


『キモっw 「兄さん」って呼んでいいですか? 実の兄は「兄貴」、世界一さんは「兄さん」ってことで』

『それでお願いします』



こうして俺たちは共闘関係になったんだ。

 やり取りはシャベルのDMだけ。どんな顔してんのか興味がないといえば噓になる。が、DM以上を望んだ時、ぬるく心地いい関係は終わってしまう。


 少なくとも俺は今の関係に満足してるよ。オンラインゲームとか一緒にしてみたいとも思うけどな。



『妹さんって本当に血繋がってる兄妹なんですか?』



 これがマイからの最初の質問だった。



『残念ながら血は繋がってる。マイは?』

『それってどうやって調べるんですか? 血液型だけじゃわからないですよね? DNA鑑定ですか?』

『DNA鑑定はハードル高すぎるわー。5万くらいするらしいし、俺ら未成年やから親の同意がいるやろし、何より兄貴殿に「DNA鑑定したいから頬の裏の細胞採取させて」って頼めるか? 俺は無理だわー』

『じゃあ兄さんは何を根拠に血が繋がってるってわかったんですか?』

『戸籍謄本を調べた。もし俺か妹が養子だったらそのように書かれてあるはずだからな』

『どう書かれてたんですか?』

『実兄実妹だ。俺も妹もオカンの子だった』

『それってたとえばどちらかがワケありで貰われた子で、母親が自分の子として届け出たら、戸籍にはそう書かれるんじゃないですか?』

『そうかもな。事情があって赤ん坊を赤ちゃんポストに託す親や、トイレなんかで人知れず産み落とされる赤ん坊もいるからな。あり得ない話じゃないと思う。そこまで考えるならDNA調べるしかないんじゃないか』

『やっぱりDNAですか』

『せやなー。社会人になったら親の同意とカネの問題は解決するけど、相変わらず兄・妹の同意の問題が残るよな』

『検索したら、別料金で髪の毛でもオッケーみたいですよ。あくまでこっそり知りたいだけなんだから、同意なしでこっそり調べたらいいじゃないですか』

『おぬしもそう思うか。なかなかのワルよのうw』

『必死なんですよw DNA鑑定は大人になってから考えます。それにしても兄さん、戸籍調べてたんですね』

『くれぐれも間違わないでほしいんだが、俺は妹ガチ恋勢だ』

『お、おう。私もガチ恋勢ですよ』



 こういうやり取りを経て現在にいたる。あっちから『仲良くしませんか?』だから最初から好感度MAXって感じだろ? だから気持ち的には楽だよ。MAXってことは後は下がっていくだけだから、そう考えると怖くもあるけどな。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ